1999 Fiscal Year Annual Research Report
胎児循環におけるエンドセリン1(1-31)およびヒト肥満細胞キマーゼの生理と病理
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11770941
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
前田 和寿 徳島大学, 医学部, 助手 (30294680)
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Keywords | ヒト肥満細胞性キマーゼ / エンドセリン1(1-31) / 臍帯動脈 / 血管収縮 |
Research Abstract |
1.本研究ではヒト子宮および胎児胎盤系とヒト肥満細胞性キマーゼとの関連性を明らかにするため,当科にて妊娠経過に異常を認めない帝王切開症例5名より説明と同意を得た上で子宮筋,胎盤及び臍帯の一部を採取し,子宮筋,胎盤,臍帯各組織中のヒト肥満細胞性キマーゼ及びエンドセリン-1(ET-1)(1-31)の発現を免疫組織学的に比較検討した.全ての症例において,子宮平滑筋細血管周囲,胎盤絨毛血管周囲,臍帯平滑筋周囲にそれぞれ存在する肥満細胞において,ヒト肥満細胞性キマーゼ及びエンドセリン-1陽性細胞の発現が認められた.これによりヒト肥満細胞性キマーゼが,妊娠子宮および胎児胎盤系に存在することが確認され,胎児胎盤循環系に何らかの影響を与える可能性が示唆された. 2.正常妊娠において,新しい血管作動性物質であるエンドセリン-1(ET-1)(1-31)の胎児循環における役割を明らかにする目的で,臍帯動脈および子宮動脈に対する血管収縮作用を検討し,ET-1(1-21)と比較した.子宮動脈はKC1添加により、組織湿重量1gあたり276.9±33.7g(n=36)と強い収縮反応を示したが、臍帯動脈の収縮力は214.2±111.6g(n=21)と有意に(p<0.0001)弱かった。 ET-1(1-21)による子宮動脈の収縮はKC1の61.0±10.1%であったが、ET-1(1-31)では8.49±3.1%と有意に(p<0.005)弱かった.臍帯動脈では、ET-1(1-21)およびET-1(1-31)による収縮がそれぞれKC1の153.8±18.8%および156.0±39.5%と、有意差は認められなかった.このことは臍帯動脈の収縮反応の調節は、体血管とは異っており、特にET-1(1-31)の役割が大きいと考えられる。
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