2000 Fiscal Year Annual Research Report
婦人科腫瘍におけるシステインプロテアーゼと浸潤および転移の関連性に関する検討
Project/Area Number |
11770948
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
荒川 敦志 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (00254300)
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Keywords | 浸潤転移 / シスタチン / カテプシン / 婦人科癌 |
Research Abstract |
婦人科悪性腫瘍の浸潤や転移におけるシステインプロテアーゼ(カテプシンB、D、H、L)と、その生体内インヒビターであるシスタチンCの動態を検討するため、臨床検体にて以下の実験を行い結果を得た。 1、当施設で治療され同意の得られた卵巣癌、子宮体癌及び子宮頚癌症例から得た臨床検体を用い、カテプシンB、D、H、LおよびシスタチンCの組織中の局在と活性をそれぞれの抗体を用いたWestern blotting法、免疫組織染色法にて検討した。免疫組織染色法の結果、悪性腫瘍症例の組織では抗ヒトカテプシンB抗体と抗ヒトシスタチンC抗体による染色性が認められ、抗ヒトカテプシンB抗体では癌細胞優位に、抗ヒトシスタチンC抗体では間質細胞優位に染色性が認められた。しかし、対照とした良性腫瘍症例の組織では染色性は認められなかった。また、抗ヒトカテプシンD、H、L抗体では、良性腫瘍、悪性腫瘍とも染色性は認められなかった。同様の結果がWestern blotting法によって確認された。 2、治療前の患者血清を用いて、その血清中のシステインプロテアーゼおよびインヒビターの濃度をEIA法により測定し検討した。その結果血清中システインプロテアーゼの濃度は良性腫瘍患者および悪性腫瘍患者において上昇していないものの、インヒビターであるシスタチンCの血清中濃度は良性腫瘍患者に比べて悪性腫瘍患者で有意に上昇していることが確認された。 3、ヒト卵巣癌培養細胞(TYK-nu)を用いたinvasion assay法にて、シスタチンCとカテプシンB阻害剤による浸潤抑制能を確認した。また、各々のプロテアーゼの培養細胞に対する影響を検討した。 その結果シスタチンCとカテプシンB阻害剤は培養細胞の接着能および生存には関与せず、浸潤能を濃度依存性に抑制することが確認された。 以上より、婦人科悪性腫瘍の浸潤機構において、カテプシンB-シスタチンC系の活性の亢進が認められ、カテプシンBの阻害により悪性腫瘍の浸潤能を抑制でき、また、血清中シスタチンC値の測定により、手術前診断の指標になる可能性が示唆された。
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