1999 Fiscal Year Annual Research Report
更年期女性における肥満のメカニズムの解明ーエストロゲンとβ3-アドレナリンレセプターの変化を中心として-
Project/Area Number |
11770958
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
柳本 茂久 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90286542)
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Keywords | β3-adrenergic receptor / Estrogen / Menopause / Lipid Metabolism / Visceral fat |
Research Abstract |
エストロゲン分泌動態の変化に伴う脂肪蓄積形態の変化のメカニズムを解明するために,ヒト臨床例を用いてβ3-adrenergic receptorの発現を以下のように評価・検討した。 インフォームド・コンセントの得られた当科入院患者におけるホルモン環境を調べ,閉経前群,閉経後・卵巣摘出後群の2群に分けた。手術前に膀胱周囲より脂肪を採取してtotal RNAを抽出し,RT-PCR法を用いてβ3-adrenergic receptor/β actin比を算出し,それをβ3-adrenergic receptorの相対発現量として評価した。 その結果, 1.β 3-adrenergic receptorの相対発現量は年齢と有意な負の相関(r=-0.46,p=0.02)を示した。 2.β 3-adrenergic receptorの相対発現量とBMIとの間には相関を認めなかった。(r=-0.07,p=0.67) 3.閉経後・卵巣摘出後群におけるβ 3-adrenergic receptorの相対発現量は,閉経前群に比して有意な低下(p=0.048)を認めた。さらに,閉経後・卵巣摘出後群を閉経後5年未満と5年以上とに分けて検討したところ,閉経後5年以上群は5年未満群に比して有意な相対発現量の低下(p=0.01)を認めた。 これらのことから,エストロゲンの分泌動態の変化がβ3-adrenergic receptorの発現に関与していることが示唆された。 現在,動物モデルを用いた検討およびfat CTを用いた脂肪蓄積量の変化の解析が進行中である。
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