1999 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内胎児発育遅延の発症機序における活性化白血球および接着分子の関与の検討
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11770963
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
宮越 敬 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (70265883)
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Keywords | 白血球 / 子宮内胎児発育遅延 / 虚血再灌流傷害 |
Research Abstract |
[実験方法](1)虚血再灌流に伴う子宮・胎盤における白血球組織浸潤の経時的変化の検討 既報の如く、一側の子宮角において血管クリップを用い子宮胎盤循環を30分間虚血し、その虚血前後および再灌流、60、120分後に子宮・胎盤を摘出した。摘出子宮・胎盤において白血球の組織浸潤の指標であるミエロペルオキシダーゼ活性を測定しその経時的変化を検討した(各群n=5)。更に子宮・胎盤の抗LFA-1抗体による免疫組織染色を行い、白血球の局在を組織学的に検討した。 (2)抗接着分子抗体の子宮内胎児発育遅延の発症への影響の検討 実験1において片側の子宮における子宮胎盤循環の虚血直前に、抗LFA-1抗体又はPBSを母獣に投与した。妊娠21日目に帝王切開により娩出した胎仔・胎盤の重量を虚血側、非虚血側において比較し、抗接着分子抗体の子宮内胎児発育遅延の発症への影響の検討する(各群n=5)。 [実験結果](1)胎盤のミエロペルオキシダーゼ活性は,虚血再灌流前後で有意な変化を示さなかった。一方,子宮では再灌流60分後よりミエロペルオキシダーゼ活性は有意な上昇を示し,120分後に虚血前の約6倍となった(P<0.05)。また、免疫組織染色では基底脱落膜にLFA-1陽性細胞の集積を認めた。(2)PSB投与群では、非虚血側に比べ虚血側の胎仔・胎盤の重量は有意に減少し子宮内胎児発育遅延が認められた(P<0.05)。一方、抗LFA-1抗体投与群では、虚血側の胎仔・胎盤の重量の減少は抑制された。 [考察]再灌流後に子宮においてのみミエロペルオキシダーゼ活性が増加していることから、虚血再灌流により子宮側に白血球浸潤が生じたと考えられる。更に、抗白血球接着分子抗体前投与により子宮内胎児発育遅延が抑制されたことから、白血球浸潤が子宮内胎児発育遅延の発症に関与していることが示唆された。
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