1999 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子工学の微細操作法を利用した着床前受精卵の遺伝子診断および胚移植に関する研究
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11770966
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
具 然和 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 助教授 (40298667)
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Keywords | 着床前期 / 遺伝子構造 / 人工受精 / aspiration of blastomere / partial zona dissection / Squeezing method / FISH / PCR |
Research Abstract |
本研究では、着床前期の受精卵の単一遺伝子異常による遺伝疾患および染色体異常による奇形を検討した。2細胞期から8細胞期(桑実胚)迄の間は、一個一個の細胞が全ての胚体となる可能性をもつため、これらの時期の4細胞期から8細胞期迄の受精卵一つを取りだし、細胞遺伝学的調査、蛍光染色による卵染色体の観察(FISH法)、遺伝子構造の観察(PCR法:・single cell PCR ・multiplex PCR)などによる着床前の遺伝子診断を行った。本研究では、遺伝子診断および染色体異常の受精卵細胞実験に良く使用するICRマウスを用いて実験を行った。6〜8週令のICRマウスを購入し、1週間予備飼育を行った後、実験に用いた。 受精後、48時間〜72時間に卵管を貫流し、受精卵細胞を採取した。その後、modified Krebs-Ringers Bicarbonate(m-KRB)培養液に集め、90分間培養した後、顕微鏡上で卵細胞検査操作を行った。また、発情期にある雌マウスの卵管を貫流し、卵細胞を採取した。その後、以上と同じ方法で、卵を集めた。そして、雄マウスから採取した精子で人工受精を行った。人工受精後、58時間培養した後、顕微鏡上で卵細胞検査操作を行った。本研究では、卵細胞分離法を以下の3つの方法を確立させた。 (1)吸引法(aspiration of blastomere):holding pipetで卵細胞の下を固定し、aspiration pipetteを透明帯に通過して卵細胞を吸引した。 (2)Displacement方法:partial zona dissectionを鋭いdissection pipetteで透明帯を切り、microbiopsy pipetteを90°角度で入れ、培養液を少しずつ注入して卵細胞を切り口から押し流されるようにした。 (3)Squeezing method:受精卵を固定して透明帯の一部をacid tyrodes solutionの方法あるいは機械的に切開し、blunt pipetteを用いて一個の細胞のみを出した。本研究の目的の一つである人工授精の方法をより精度よく行うことである。従って、これらの方法により、卵細胞分離を行った後、どの方法が卵細胞に影響を与えず、生存へと導くことが可能かを検討した。分離後の受精卵細胞群と無処置(コントロール)受精卵細胞群との生存率の比較実験を行った結果、人工授精を行った群において48hpcでは、6個、72hpcでは、32個、96hpcでは、108個までに細胞分裂が認められた。今後、更に着床前の受精卵をFISHあるいはPCRなどを用いてPoint Mutationのような遺伝子異常の検討を行う予定である。
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