1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11770983
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
伊藤 真人 金沢大学, 医学部, 助手 (50283106)
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Keywords | 顔面神経麻痺 / 神経軸索障害モデル / 神経変成 / 神経再生 |
Research Abstract |
まず、代表者が以前から用いている方法で、脳内根および末梢部の顔面神経麻痩モデル動物を作成した。特に脳内根弯曲部での顔面神経の切除は、今回備品として購入した超精密脳定位固定装置がなければ再現性のある的確な障害モデルを作ることは困難であった。顔面神経再生実験に先立つ研究として、まず中枢性軸索障害モデルと側頭骨外顔面神経障害モデル(=末梢軸素障害モデル)の間で、神経軸索障害後に起始神経核部においてみられるNOSの発現性に違いがあるかどうかを検討した。中枢軸索としては前述の顔面神経脳内根切断において、再現性のある障害モデルを作成するのに試行錯誤を要し時間が必要であったため、神経系は異なるが聴覚系の求心性交叉性投射路である、プローブスト交連の切断結果とまずは比較を行った。NOSの同定のためにはNADPH-diaphorase染色と、NOSの免疫組織学的検討を併用した。 その結果,顔面神経末梢軸素障害後には中枢軸素障害後に比べて、NOS の発現は時間的にはゆっくりとしており,NOの発現機序や働きの面で両者の間では違いがあることが示唆された。一方で、顔面神経脳内根障害モデルではプローブスト交連切断後と同様の受像早期にはNOSの発現は全く見られなかった。現在長期生存例での検討を進めている。再生実験では、脳内根の切断後すぐに嗅球組織の移植を行い、長期に再生能の違いを検討中である。また中枢の神経変性に影響を与えうる投与薬剤としてはNOS inhibitorやNMDA receptor antagonnistなどがあるが、これらの薬剤単独では再生に著名な効果は認められず、現在他の薬剤(カドヘリン)について考慮中である。いずれにせよ、もともと再生能の旺盛な末梢神経とは異なり、中枢神経ではいくつかの方法の併用、特に神経幹細胞の移植までを視野にいれた再生実験を予定している。
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