1999 Fiscal Year Annual Research Report
単純ヘルペスウイルス1型感染による顔面神経麻痺の病態に関する基礎的研究
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11770996
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
脇坂 浩之 愛媛大学, 医学部, 助手 (30304611)
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Keywords | 単純ヘルペスウイルス1型 / ベル麻痺 / 顔面神経 / 神経障害 |
Research Abstract |
ベル麻痺の病因について、HSV-1の関与が有力視されているが、現在のところ、HSV-1感染による神経麻痺の発症機序についての詳細は不明である。HSV-1が、いつ、どのような経路で顔面神経に感染し、どのような機序で神経障害を起こすのかを明らかにすることで、ウイルスの早期の検出の可能性を高め、麻痺発症予防、抗ウイルス薬の効率的な使用時期の決定、また、現在、本疾患の治療で主に使われているステロイド剤の投与の是非と投与量の決定に貢献できると考え、本年度の(平成11年度)本研究では、HSV-1接種による顔面神経麻痺マウスモデルを用いて、免疫組織化学を用い、顔面神経内でのHSV-1の進展、増殖経路の時間的、空間的解析を行った。その結果、HSV-1は、耳介接種3日後に顔面神経膝神経節で陽性となり、4日後には脳幹部下行脚で、5日後では顔面神経核で陽性となった。また、膝神経節、顔面神経核のHSV-1陽性細胞は神経細胞であったが、下行脚部でのHSV-1陽性細胞は神経膠細胞であった。以上により、顔面神経におけるHSV-1の主たる増殖部位は、先述の3部位であると考えられ、その増殖標的細胞は、下行脚部とその他では異なる可能性が示唆された。本年度は、電子顕微鏡を用い、細胞レベルでさらに詳細に、HSV-1の感染経路、増殖標的細胞の詳細、細胞内増殖経路を明らかにする予定である。
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[Publications] 脇坂浩之,木崎久喜,高橋宏尚,本多伸光,村上信五: "HSV-1初感染による顔面神経麻痺モデルの経時的組織学的検討"Facial Nerve Research. 19. 30-32 (1999)