2000 Fiscal Year Annual Research Report
マウス免疫寛容モデルを用いた鼻アレルギー病態の解明
Project/Area Number |
11771005
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Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
吉田 和秀 大分医科大学, 医学部, 助手 (10305055)
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Keywords | 免疫寛容 / NALT / P6 / TGF-β / Th3 |
Research Abstract |
鼻咽腔は常に大量の外来抗原と接しており,抗原認識において重要な役割を担っている。さらに,鼻腔における局所免疫系は全身免疫系と密接な関わりを持ちながら,特有のユニークな免疫応答機構を持っている。マウスでは鼻腔後方にヒト扁桃に相当するNALT(nasopharyngeal associated lymphoid tissue)が存在し,局所免疫応答機構の主要な役割を担うものと考えられる。経鼻免疫寛容の誘導に対するNALTの関与について検討した。 Nontypeable Haemophilus influenzae(NTHi)の主要抗原であるP6(10mg)をcholera toxin(1mg)と共にBALB/Cマウスに経鼻免疫した。ELISA法で鼻腔洗浄液中のP6特異的抗体価を,ELISPOT法でNALT単核球中のP6特異的抗体産生細胞数を計測した。また,single-cell RT-PCR法でNALTのCD4+T細胞(Th0,Th1,Th2,Th3)について検討した。 P6による経鼻免疫で鼻腔洗浄液中のP6特異的IgAがコントロールに比して有為に増加した。鼻粘膜単核球中にP6特異的IgA産生細胞が観察されたのに対し,NALT単核球中に同細胞は観察されなかった。NALTのCD4+T細胞は多くがIFN-γとIL-5のmRNAを発現するTh0細胞であったが,transforming growth factor(TGF-β)のみを発現するTh3細胞も認めた。 TGF-βは生体において免疫能を抑制する重要なサイトカインと言われている。経鼻免疫は誘導組織であるNALTのCD4+T細胞をTh3細胞へ分化させることにより,TGF-βを産生し末梢の免疫寛容状態を誘導する可能性が示唆された。
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