1999 Fiscal Year Annual Research Report
味覚・嗅覚機能検査の標準化による「おいしさ」障害の研究
Project/Area Number |
11771006
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
西元 謙吾 鹿児島大学, 医学部・附属病院, 助手 (50305132)
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Keywords | 味覚閾値検査 / グルタミン酸ナトリウム / 味覚障害 |
Research Abstract |
「うまみ」物質であるグルタミン酸ナトリウム、グアニル酸、イノシン酸の溶解液を12段階の倍数希釈系列として調整し、ボランティアに全口腔法味覚閾値検査を行った。対象は、味覚障害を訴えていない健康な10代〜70代の男女100名(男性46名、女性54名)である。このうち喫煙者が26名であった。味覚に影響すると思われる疾病である糖尿病、慢性副鼻腔炎、脳血管障害、胃腸障害などを持つものはあらかじめ除外した。味覚機能検査として、口腔内に一定の味覚物質が溶解している検査液を散布して味の種類を答えさせる全口腔法味閾値検査を行った。全口腔法味閾値検査はグルタミン酸ナトリウム、グアニル酸、イノシン酸のそれぞれを0.1Mから倍数希釈系列で12段階の濃度に調整し、薄い濃度より1から12まで番号をつけた。検査溶液を口腔内に薄い濃度より0.5mlずつ散布して上昇法で味の種類を答えさせ、だし、こんぶ、魚など「うまみ」を意味する答えの得られた段階を数字として評価した。検査後、3つの検査系列の内どれが最もよい味であったかをアンケートした。 グルタミン酸ナトリウム、グアニル酸、イノシン酸の全口腔法味閾値検査におけるそれぞれの認知閾値は6.2±2.16、6.12±2.84、5.03±2.43であった。いずれの系列においても喫煙者と非喫煙者の間に閾値の有意な差は認めなかった。また、年齢による閾値の有意な上昇などは認めなかった。検査後のアンケートでは、グルタミン酸ナトリウムがもっともよい味と答えた被験者が一番多かった。以上より、「うまみ」の全口腔法味閾値検査にはグルタミン酸ナトリウムが最も適していると考えられ、正常例での認知閾値はグルタミン酸ナトリウム溶液濃度が約0.0016M付近であろうと考えられた。これらの結果を元に、簡便な5段階の希釈系列の全口腔法味覚閾値検査を確立した。
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