1999 Fiscal Year Annual Research Report
21番染色体上の2つの常染色体劣性非症候群性聾遺伝子のポジショナルクローニング
Project/Area Number |
11771016
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
渋谷 和憲 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90296723)
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Keywords | 非症候群性聾 / ヒト21番染色体 / 遺伝子変異 |
Research Abstract |
聾は新生児約1000人に1人の割合で罹患が見られる感覚器障害で、先天性聾の50%以上が遺伝子性であると推定されている。遺伝性聾の約70%が他の臨床症状を示さない非症候性群である。この遺伝性非症候群性聾の約75%が常染色体劣性、20%が常染色体優性の遺伝形質を、2〜3%がX染色体劣性形質を示し残りのケースは母系から受け継がれたミトコンドリア・ゲノム上に変異が存在すると考えられている。このうち最も多い常染色体劣性非症候群性聾(ARNSHL)は新生児約2500人に1人で見られ、30〜100の異なる遺伝子が関与していると推定されている。我々はヒト・ゲノムプロジェクトの一貫としてヒト21番染色体の塩基配列を決定している。従って21番染色体上にマップされているDFNB10およびDFNB8の原因遺伝子を同定することによって聴覚障害の機構解明ひいていは臨床診断・治療に寄与したいと考え研究を行った。DFNB10座位はD21S212-D21S361間の領域に存在することが示唆されており、この領域はまさに我々がシーケンシングを行っている領域に含まれている。我々はBACクローンを用いてコンティグを作製し、現在までにD21S212-D21S361間の塩基配列をほぼ完全に決定した。得られた配列情報を基に多数の多型マーカーを用いてこの領域を約1Mbに絞り込んだ。そこでこの領域に存在する遺伝子をコンピュータおよび実験的な解析を行い13個の遺伝子を同定した。このうちABCG1、TFF3、TFF2、TFF1、PDE9A、NDUFV3の6個の既知遺伝子に対して患者家系(モロッコ人由来)に特異的な遺伝子変異の検出を試みた。結果として、これらの遺伝子には特異的な変異は検出されなかった。従って候補遺伝子は残り7個に絞られ、現在これらについても遺伝子変異の検出を試みている。
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