1999 Fiscal Year Annual Research Report
頭頸部癌組織における血管新生と内皮細胞増殖因子に関する研究
Project/Area Number |
11771028
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
宮嶋 義巳 久留米大学, 医学部, 助手 (60289486)
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Keywords | PD-ECGF / dThPase / VEGF / 下咽頭癌 |
Research Abstract |
PD-ECGF/dThPaseは血小板由来の血管内皮細胞の活性化因子で、腫瘍の増殖と転移に関連する血管新生を促進する作用がある。VEGFは34-42kDの蛋白で血管新生および血管内皮細胞の分化、増殖促進するため、腫瘍血管の新生を促すとされている。頭頸部癌の中で最も予後不良の下咽頭癌を対象に血管増殖因子であるPD-ECGF/dThPaseとVEGFについて検討した。対象は1990年から1995年に当科で治療を行った下咽頭扁平上皮癌のうち、局所再発を認めない36例で、組織はパラフィン包埋された組織を用いた。一次抗体にはPD-ECGF/dThPase、VEGFの2種類を用い、免疫染色にはLSAB kitを使用した。判定はPD-ECGF、VEGFは癌細胞の400個中で陽性細胞が10%以上のものを陽性とした。これらの2つのパラメータの陽性、陰性とリンパ節死、遠隔転移死との関係を調べた。PD-ECGF/dThPaseは腫瘍細胞の胞体に認められ、36例中25例で陽性であった。VEGFは癌細胞の胞体に認められ、36例中27例で陽性であった。PD-ECGFとリンパ節死、遠隔転移死との関係では、リンパ節死は陰性例では18%、陽性では16%であり、遠隔転移死は陰性例では27%、陽性では24%で、有意差は認められなかった。VEGFとリンパ節死は有意差はないが、陰性例では33%、陽性では11%で、陰性例で多く見られた。遠隔転移死は陰性例では33%、陽性では22%で、有意差はなかった。
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