1999 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚障害モデルマウスを用いた内耳有毛細胞におけるキネシン様蛋白質の機能解析
Project/Area Number |
11771030
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
吉川 欣亮 財団法人 東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (20280787)
|
Keywords | キネシン / 内耳有毛細胞 / ジャクソンシェーカーマウス / ミオシンVIIa / shaker-1マウス / ミオシン-キネシン相互作用 |
Research Abstract |
内耳有毛細胞で機能することが予想される新規のモーター蛋白質であるキネシン様蛋白質(DAK:Deafness associated kinesin)の解析を行った結果、以下に示すような知見が得られた。 DAKのアミノ酸配列をもとに合成したペプチドを用いて抗ペプチド抗体を作製した。これを用い、ウェスタンブロッティングを行った結果、約150KDaのバンドが検出された。さらに、内耳有毛細胞での重要な機能が予想されるミオシンVIIaに対する抗体を用いて、抗体カラムを作製し、腎臓のホモジネートから精製した抗原蛋白質に対してウェスタンブロッティングを行った結果、同様のバンドが検出されたことから、DAKとミオシンVIIaの相互作用が示唆された。しかしながら、作製した抗体を用いた解析においてバックグラウンドが検出されることから、現在、新たな抗体を作製中である。 一方、内耳におけるDAKの局在を調査するため、RT-PCR,RNAプローブを用いたin situハイブリダイゼーションおよび上記の抗体を用いて、免疫染色を行った。その結果、DAKは12.5日胚でユビキタスに発現が認められ、耳胞においても強い発現が検出された。さらに、RT-PCRにより、その発現を調査した結果、生体においても各組織で発現が認められ、また、内耳においても強い発現が検出された。特に、蝸牛切片に対して免疫染色を行った結果、DAKは内有毛および外有毛細胞の支持細胞に非常に強い発現が認められた。この部位はミオシンVIIaの発現も報告されている。今後、DAKに生じた突然変異により内耳有毛細胞に異常を示すことが予想されるジャクソンシェーカーマウスおよびミオシンVIIaの変異マウスであるShaker-1マウスにおいても同様の解析を行うと共に、両者の交配実験により二重変異体を作製することでその機能を探索する予定である。
|