2000 Fiscal Year Annual Research Report
軸索切断後の網膜神経節細胞が変性に至るメカニズムの解明
Project/Area Number |
11771035
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
若林 毅俊 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (90302421)
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Keywords | 細胞神経節細胞 / 軸索切断 / アポトーシス / in situ hybridization |
Research Abstract |
Wistar ratの視神経を切断し、3日後に網膜を取り出しmRNAを抽出した。視神経切断を行わなかった眼球からの網膜をコントロールとしたsubtraction libraryを作成し、視神経切断後に発現が上昇する分子を単離した。その中の一つAIG5はBH3 domain only proteinの一種で神経栄養因子除去後の神経細胞死に関与していることが示唆されている分子に相同性がある。ラット網膜上でAIG5は視神経切断後12時間後から7日後まで発現が認められた。AIG5のmRNAに対してラット網膜切片上でIn situ hybridization histochemistryを行ったところ、視神経切断後の網膜神経節細胞にシグナルが認められた。このことは、AIG5が軸索切断後の網膜神経節細胞のアポトーシスの決定において重要な機能を有することを示唆する。また、視神経切断ラットに種々の薬物を投与し、AIG5の発現レベルの変化をcompetitive RT-PCRにより検討したところ、FK506がその発現を抑制することが明らかになった。現在この薬物が網膜神経節細胞のアポトーシスを阻止する働きがあるかについて検討中である。同様に単離されたAIG357はopen reading frame 2694bpを含む全長約2800bpからなる遺伝子である。アミノ酸配列からはキナーゼドメインをもち、ヒトJIK(JNK inhibitory kinase)に相同性が認められる。JIKがEGF除去によるアポトーシスの誘導に関わっていることからもAIG357のアポトーシスへの関与が推定されており、実際どのような機能を持つのかについて解析をすすめている。
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