1999 Fiscal Year Annual Research Report
増殖性硝子体網膜症に対する多剤併用硝子体内薬物放出制御システムの開発
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11771049
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西脇 弘一 京都大学, 大学院・医学研究科, 助手 (90303841)
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Keywords | 増殖性硝子体網膜症 / ドラッグデリバリー / トランラスト / 水溶性高分子 / 薬物徐放 / 硝子体 / 多剤併用 / ステロイド |
Research Abstract |
本年度は、増殖性硝子体網膜症における眼内薬物徐放システムの開発のために、まず、5-フルオロウラシル、トラニラスト、シスヒドロキシプロリン、ステロイドそれぞれを含有する生体分解高分子からなる強膜プラグを作製し、リン酸緩衝液中における強膜プラグからの薬剤の溶出量を経時的に測定することにより薬剤の徐放パターンを検討し、各薬剤について強膜プラグ中の薬剤含有量と基剤となるPLGAの分子量、乳酸、グリコール酸の共重合比ついて最適と思われる条件を得た。次に家兎眼を対象にして、各種薬剤を含有する高分子強膜プラグを毛様体扁平部の強膜に移植し、経時的に硝子体液を採取し薬物濃度を測定した結果、各薬剤において、1〜3ヶ月以上の長期間にわたって硝子体内薬物有効濃度を維持出来ることが確認された。続いて、実験的増殖性硝子体網膜症モデルを使用し、薬剤含有高分子強膜プラグの増殖性硝子体網膜症発生予防効果を、5-フルオロウラシル、ステロイドそれぞれ単独または併用について評価した。家兎の皮下より採取した線維芽細胞を、培養、継代し、あらかじめSF6ガスにより硝子体液化を誘導した家兎の眼の硝子体腔に注入することにより、増殖性硝子体網膜症を実験的に誘導し、両薬剤を含有した高分子強膜プラグを単独移植、または、同時移植し、その治療効果を観察した結果、単独移植においても、発生する網膜剥離の頻度を有意に低下させ、その程度は、5-フルオロウラシル含有プラグにおいてより顕著だった。さらに、ステロイド含有プラグ併用の場合、薬剤の相乗効果が得られ、優れた予防効果を発揮した。今後は、対象群との病理組織学的な比較検討と、生体へのこの硝子体プラグの適応性について検討する予定である。
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