1999 Fiscal Year Annual Research Report
角膜ヘルペスにおけるアポトーシスの発現についての検討
Project/Area Number |
11771081
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
荒木 博子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (70301546)
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Keywords | 角膜ヘルペス / アポトーシス / 単純ヘルペスウイルスI型 / 角膜上皮細胞 |
Research Abstract |
【目的】ウイルス感染による細胞の形態変化は細胞変性効果(CPE:cytopathic effct)と呼ばれ、ネクローシスの典型的な一形態であると理解されてきたが、近年ウイルス感染細胞の致死機構にアポトーシスの関与が報告されている。そこで今回、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)感染により角膜上皮細胞にアポトーシスが誘導されるか検討した。 【方法】1)培養家兎角膜上皮細胞(Corne Pack^<【encircled R】>,クラボウ社)にHSV-1(臨床分離株)を接種し、6、12,、24時間後に細胞を2.5%グルタールアルデヒドで固定した。DNA結合蛍光色素であるHoechst33258染色を施し、蛍光顕微鏡および共焦点レーザー蛍光顕微鏡にて感染細胞の核クロマチンの形態変化について観察した。またTUNEL染色によるアポトーシスの検出も試みた。2)培養家兎角膜上皮細胞にHSV-1を接種6、12、24時間後にアガロースゲル電気泳動によるDNAfragmentationの解析を行った。 【結果】1)Hoechst33258の染色結果、HSV-1接種後6、12、24時間の検体において、アポトーシスに特徴的とされるクロマチンの凝集、核の断片化や細胞質のblebbingなどの形態変化が少数の培養細胞に認められたが、その数は少なく、接種後12時間では半数以上、また24時間では大多数の細胞が培養皿よりはがれて大きく球状に膨化し、細胞溶解を生じた。TUNEL染色においても陽性細胞は少数しか認められなかった。2)DNA fragmentationの指標であるladderは検出されなかった。 【結論】培養系でのHSV-1感染は角膜上皮細胞にアポトーシスを誘導する可能性が低いと考えられた。今後はマウスHSV-1感染モデルを用いて、in vivoでのHSV-1によるアポトーシスの誘導・抑制の可能性について検討する予定である。
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