2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11771086
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
弓削 堅志 関西医科大学, 医学部, 助手 (10247942)
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Keywords | 増殖性硝子体網膜症 / レーザー / 動物モデル / 光凝固 / ラット |
Research Abstract |
以前、我々は、家兎網膜にレーザー光凝固を行って網膜裂孔・網膜剥離を発生させ、増殖性硝子体網膜症を発症させる動物モデルを考案・発表したが(1995:Annual Meeting of The Association for research in Vision and Ophthalmology)、平成11年度からは同手技を用いた増殖性硝子体網膜症ラットモデルの作成、および評価を行ってきた。 平成11年度の研究に引き続いて、平成12年度には、レーザーの照射条件と網膜症の発症頻度、発症形態の関係、病理組織学的検討、免疫組織学的検討を行ってきたが、その結果、レーザーの種にはアルゴンレーザーが最も有効であり、照射位置、時間、出力、回数によって、網膜症の発症頻度や外見に差がみられることが判った。電子顕微鏡をもちいた組織学的な検討では、家兎と同様、増殖組織中には繊維芽細胞とタイプ1コラーゲンを中心とした膠原線維が豊富にみられ、ヒトでの増殖性硝子体網膜症と酷似していた。繊維芽細胞は色素上皮細胞以外に脈絡膜の細胞由来のものが多くみられ、その頻度は光凝固の条件によって異なってみられた。免疫組織学的検討では、増殖組織は抗NSE抗体に陰性、GFAPに一部陽性、Vimentin陽性であり、網膜神経細胞由来ではなく、網膜色素上皮細胞、脈絡膜細胞、ミューラー細胞の関与が考えられた。 今回の研究によって、ラットにも増殖性硝子体網膜症様の眼底変化をもたらすことができた。また、モデルの作成は、家兎を用いたものより格段に容易であり、短時間に低価格で作成することができた。本モデルは、現在多く行われている種々の薬剤による増殖性硝子体網膜症の抑制に関する研究に最適と考えられた。しかし、高価な光凝固装置を用いる必要があること、病理学的に色素上皮細胞以外の細胞も関与していることを考慮する必要がある。
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