1999 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚三次元培養を用いた真皮ー表皮相互作用,創傷治療と組織工学に関する研究
Project/Area Number |
11771095
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡崎 睦 東京大学, 医学部・附属病院, 教務職員 (50311618)
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Keywords | ティシュ・エンジニアリング / 組織工学 / 皮膚三次元培養 / 表皮角化細胞 / 真皮線維芽細胞 / メラノサイト / サイトカイン / サイトケラチン |
Research Abstract |
表皮角化細胞、メラノサイト、真皮繊維芽細胞の三種類の細胞を用いた皮膚三次元培養モデルを樹立し、安定した表皮-真皮相互作用の実験系として用いることが可能になった。この実験系を用いて口腔粘膜上皮と表皮の分化の違いについて、その深層の粘膜が組織と真皮に由来する線維芽細胞が、どの程度上皮細胞の分化に影響を与えるかどうかを検討した。結果としては、真皮線維芽細胞は口腔粘膜上皮細胞に対して、皮膚様の正常角化と皮膚に特異的なサイトケラチン1-10の有棘層、顆粒層での発現を誘導する能力があることが確認された。一方、口腔粘膜下組織由来の繊維芽細胞も、表皮角化細胞の分化に関して、サイトケラチン1-10、サイトケラチン4-13の発現パターンに影響を与えることが確認された。このような上皮細胞の分化の誘導が、胎内ではなく成人の細胞で確認できたことは有意義である。この上皮細胞の分化に影響を与えているシグナルに関してはサイトカインの発現等を含めて現在研究中である。 一方、皮膚病変部の相互作用の研究としては、先天性の皮膚色素沈着性病変である扁平母斑では、その病変部局所の表皮角化細胞や真皮繊維芽細胞が、エンドセリンや肝細胞増殖因子、幹細胞因子などのサイトカインを持続性に分泌する性質を持ち、これがメラノサイトの増殖とメラリン産出を刺激し、皮膚の色素沈着性病変を引き起こしている可能性があることが分かった。また同じ扁平母斑でも、正常人に孤立性に存在するものとレックリングハウゼン病患者に多発性に発生するものとではその発生機序に違いがあることが分かった。
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