1999 Fiscal Year Annual Research Report
エナメル質形成におけるCD44を介した細胞内情報伝達機構の解析
Project/Area Number |
11771110
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中村 浩彰 岡山大学, 歯学部, 助教授 (50227930)
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Keywords | エナメル質形成 / エズリン / CD44 / グリコサミノグリカン / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
エナメル器を構成するエナメル芽細胞、エナメル髄、中間層細胞、外エナメル上皮にはCD44とエズリンが局在し、両染色パターンは類似した傾向を示すことが免疫組織化学的に確認された。2つのタンパクの相互作用を検索するためにラット下顎切歯からエナメル器の細胞をとりだし、Western Blottingによりエズリンを検出したところ、0.01%,0.1%NP-40で可溶化される分画に分子量70Kのバンドが認められ、エナメル器細胞のエズリンは親水性の高い細胞骨格タンパクであることがわかった。また、抗エズリン抗体を用いて免疫沈降を行ったところ、銀染色にて分子量60K,90Kの共沈タンパクが認められたが、エズリンとの関連が報告されているβ-カテニンではなかった。CD44との関連については、市販の抗CD44抗体が免疫組織化学には有用であるものの、Western Blottingおよび免疫沈降法には適していないことがわかり、来年度にはCD44の合成ペプチド抗体を作製を考えている。CD44のグリコサミノグリカンについて検討するために、コンドロイチン4硫酸、6硫酸、ケラタン硫酸、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸の局在を検索したところ、エナメル器の細胞には主としてヘパラン硫酸とヒアルロン酸が局在し、他のグリコサミノグリカンについてはほとんど認められなかった。CD44にはコンドロイチン硫酸、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸が付加されることが報告されているが、エナメル器細胞に発現しているCD44はヘパラン硫酸による修飾が強く示唆された。さらに、CD44はヒアルロン酸結合タンパクであることから、エナメル器細胞に発現しているCD44はヒアルロン酸を保持し、エナメル芽細胞の分化、成熟に重要な役割をに担っているものと考えられる。
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