2000 Fiscal Year Annual Research Report
A.actinomycetemcomitans線毛機能の遺伝子からの解析
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11771115
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
谷本 一郎 岡山大学, 歯学部, 助手 (00280686)
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Keywords | 線毛 / 遺伝子 / オペロン / 転写制御 |
Research Abstract |
1昨年度の結果からActinobacillus actinomycetemcomitansの線毛サブユニットタンパクの遺伝子flpの下流には,5つのorfがflpと同じ向きで存在することが判明している。この5つの遺伝子(それぞれorfA,orfB,orfC,orfD,orfEと命名)の予想アミノ酸配列の解析から,次のことがわかった。 ・orfBがコードするタンパクは,タイプIV線毛リーダーペプチダーゼと高い相同性を示した。さらにタイプIVリーダペプチダーゼが認識するアミノ酸配列モチーフがflpとorfAのコードするタンパクのアミノ酸配列中に見出された。 ・orfDがコードするタンパクは,細菌菌体外分泌にかかわるタンパク群と高い相同性を示した。flpから始まる一連の遺伝子群はタイプIV線毛構成のかかわる遺伝子群である可能性が高いことが判明した。 2線毛のクローニングに用いたA.actinomycetemcomtans線毛発現株304-a株と他の菌株をflpの塩基配列の違い,mRNAへの転写の違い,両面から比べてみた結果, ・304-a株とそれを継代して線毛を発現しなくなった304-b株では,flpの構造遺伝子の塩基配列は上流のプロモーター領域を含めて完全に一致していた。mRNAの解析から304-b株はflpの転写開始が起こっておらず,転写開始の段階で制御されていることがわかった。 ・臨床分離株の1つは線毛非発現株であるが,そのflpにはフレームシフトが存在して,タンパクとしてFLPを発現できないことがわかった。 すなわち線毛発現の違いにはmRNAに転写する段階での制御に基づくものと,構造遺伝子の変異に基づくものとがあることが明らかになった。
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[Publications] Testuyoshi INOUE,Hiroyuki OHTA,Ichiro TANIMOTO,Ryuji SHINGAKI,and Kazuhiro FUKUI: "Heterogeneous Post-translational modification of Actinobacillus actinomycetemcomitans fimbrillin"Microbiol Immunol. 44(8):. 715-718 (2000)