1999 Fiscal Year Annual Research Report
マウス下顎切歯の器官培養法を用いたエナメル芽細胞の増殖と分化の機構の解明
Project/Area Number |
11771118
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
原田 英光 九州歯科大学, 歯学部, 助教授 (70271210)
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Keywords | Stem Cells / Notch / FGF / Ameloblast / differentiation / Jagged / Serrate / Fringe |
Research Abstract |
1:マウス切歯の器官培養法の開発。本方法は、生後のマウスの切歯を培養し、歯の上皮および間葉細胞の増殖と分化を経時的に観察できる方法である。2:切歯根尖部のサービカルループの中心部にDiIを注入し細胞の動態を観察した。その結果、サービカルループの細胞は、内エナメル上皮に移動し、そこで活発に細胞分裂を行い、その後エナメル芽細胞へと分化する様子が観察された。BrdUのラベリングによる観察では、サービカルループでは比較的ゆっくりと分裂し、内エナメル上皮において活発に分裂することが観察された。さらに、サービカルループで分裂した細胞の一方の娘細胞は、サービカルループ内にとどまり、もう一方の娘細胞のみがエナメル芽細胞の分化過程へと進むことが推測された。これは、幹細胞がサービカルループに存在することを示す重要な結果であった。3:マウス切歯の根尖部において増殖や分化のための遺伝子の発現を検索し、歯原性上皮幹細胞の増殖やその維持、分化の方向性を決定するための分子生物学的メカニズムを解明した。上記で同定した幹細胞は、Notch1,2とlunatic fringeの発現する境界部分に存在し、その遺伝子発現のパターンからnotch signalling pathwayと呼ばれる細胞間情報伝達系よって幹細胞の動態が決定されることが推測された。さらに、lunatic fringの発現が線維芽細胞増殖因子-10によって維持されていることwhole-mount in situ hybridization法によって示した。また、線維芽細胞増殖因子-10は幹細胞細胞分裂にも重要な働きをしていることをBrdUを用いた実験によって示した。この結果は、線維芽細胞増殖因子-10は上皮間葉相互作用の一貫としてnotch signalling pathwayを制御し、かつ幹細胞の細胞分裂にも作用する可能性を示した。
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Research Products
(1 results)