1999 Fiscal Year Annual Research Report
環境ホルモンとしての歯科材料が雄性生殖腺機能に及ぼす影響
Project/Area Number |
11771119
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
中牟田 信明 九州歯科大学, 歯学部, 助手 (00305822)
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Keywords | 生殖毒性 / レジン |
Research Abstract |
歯科材料が雄の生殖腺機能に及ぼす影響を調べる目的で、未重合のシーラント材をマウスに経口投与し、精子形成障害の有無を組織学的に検討した。シーラント材は0.1、1、10、および100nl/g体重、ビスフェノールAは20ng/g体重となるようそれぞれコーン油に溶解し、経口投与ゾンデを用いて1日1回、連続5日間投与した。 エストロゲン様化学物質に対する精巣の感受性は成体と幼若個体とで異なっているため、実験1では8週齢のICRマウスに直接投与し、実験2では泌乳中の親に投与して、生後2週目のマウスに乳汁を介して摂取させ、それらの違いを比較した。投与期間終了後、臓器を摘出してブァン固定、パラフィン包埋処理を施し、切片を作製してHE染色とPAS染色を行った。 その結果、実験1、即ち8週齢マウスへの投与実験では、様々な濃度のシーラント材や、ビスフェノールAを投与した個体でも活発な精子形成像が観察された。一方、実験2で生後2週目のマウスに乳汁を介して投与した場合には、10および100nl/g体重のシーラント投与群の精巣に、ビスフェノールAを投与した場合と同様、対照群に比べて精細管の管腔内に多核巨細胞が多くみられた。 これらの結果から、歯科治療に用いられるシーラント材が未重合の状態で体内に取り込まれた場合に、幼若マウスに対して生殖毒性をもち得ることが示唆された。しかし、今回のような乳汁を介した投与法では、母体内での濃縮や乳量の変化をはじめ、様々な要素を考慮に入れて結果を評価しなければならない。そこで次年度は、幼若マウス精巣から分離培養したセルトリ細胞を用いて、生殖腺機能に対する歯科材料の直接的な影響を評価する。
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