1999 Fiscal Year Annual Research Report
歯胚発育におけるFGFおよびFGFレセプターの生理的役割
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11771132
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
坪井 孝博 愛知学院大学, 歯学部, 助手 (00308777)
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Keywords | 歯胚 / FGF / FGF receptor / アンチセンス ODN / RT-PCR |
Research Abstract |
我々は、マウス培養歯胚の発育過程におけるFGFおよびFGFRの生理的機能を調べ、さらにFGFRの発現パターンが歯胚の形態形成にどのように関連しているのかについて調査した。歯胚の発育過程を象牙芽細胞、エナメル芽細胞の分化マーカーであるdentin sialophosphoprotein(DSPP),amelogeninおよびCbfa-1をを用いてRT-PCR法で検討した。それらのmRNA発現パターンと組織学的所見より、適切な条件を設定した。この条件下において、FGFR1、FGFR2は各発育ステージでほぼ同程度のmRNA発現を、FGFR3はadvanced bell stageで強い発現を示した。また、FGFR4はearly bell stage以降、発現が低下した。FGFR4に対するFGFリガンドとしてFGF1、2,4,6,8,9が報告されているが、このうち、FGF4はcap stageからすでに発現がみられ、FGFR4と同様にearly bell stage以降、発現が低下した。次に翻訳阻害実験を行ったが、FGFR4 AS ODNs単独添加による変化は確認できなかった。この結果に対し、FGFリガンドは他のFGFRに交差親和性をもつため、FGFR4が単独で阻害されても、影響が少ないと考えられた。したがって、FGFR4に対応するリガンドを過剰に存在させるため、medium中にリガンドのひとつであるFGF4を添加し、さらにFGFR4 AS ODNsを添加したところ、歯胚の形態形成が著しく抑制された。以上の結果より歯胚組織にはFGFR4が存在しており、FGFR4の発現が抑えられた歯胚では外因性のFGF4が形態異常を惹起すること、およびFGF4の存在がFGFR4の遺伝子発現に影響を及ぼすことを示した。これらの知見はcap stageからearly bell stageにおいてFGF4とFGFR4の特異的対応が歯胚の形態形成過程において、生理的役割を担っている可能性を示している。
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Research Products
(1 results)