1999 Fiscal Year Annual Research Report
扁桃体単一ニューロンの膜特性および海馬体との神経回路網に関する電気生理学的研究
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11771136
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
船橋 誠 岡山大学, 歯学部, 助手 (80221555)
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Keywords | LTP / Retrohippocampus / NMDA / AMPA / Slice / Rat |
Research Abstract |
海馬体のうち特に内嗅野および傍海馬支脚の深層で特異的に観察される鋭波(200Hz)およびガンマ波(40-100Hz)を含むバースト発火について,その発生機序について長期増強(LTP)との関連において解折を行った。同部における興奮性シナプス後電位(EPSP)の増強効果はテタヌス刺激だけでなく低頻度刺激(0.1-0.05Hz)によっても起こることが特徴的であり,誘発されるEPSPの主要な構成成分はNMDA型およびAMPA型グルタミン酸レセプターによるものであり,誘発されるバースト発火の閾値が発火回数の増加と共に次第に減少していき,20-40回の発火の後には極めて一定になることが明らかとなった。そこで,各型のグルタミン酸レセプターに特異的に作用するアイタゴニストを用いて,各成分に分離したEPSPに対するテタヌスおよび低頻度刺激の増強効果を観察したところ,AMPA型グルタミシ酸レセプターを介するEPSPにはいずれの刺激でも著名な増強効果が観察されたが,NMDA型グルタミン酸レセプターを介するEPSPはいずれの刺激でも増強されなかった。いずれの型のグルタミン酸レセプターも単独ではバースト発火を誘発しなかったが,ピクロトキシン(GABA_Aレセプターのアンタゴニスト)の投与により,AMPAおよびNMDA型を介する各々の誘発電位に活動電位の発射と2秒間以上続く脱分極が観察された。また,これらの応答は深層のみの限局されたニューロンネットワークを含む組織小片においても観察された。以上のことより,同部のバースト発火はAMPA型グルタミン酸レセプターを介してEPSPの増強がおこり,AMPAおよびNMDA型グルタミン酸レセプターの協調によるEPSPが回帰性の抑制性入力より優位になることで発生し,以後,バースト発火の回帰性の興奮性入力による増強効果により閾植が低くなることが示唆された。
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