1999 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子欠損変異体を用いた歯周病原性細菌の蛋白分解システムの解析
Project/Area Number |
11771140
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡元 邦彰 九州大学, 歯学部, 助手 (10311846)
|
Keywords | Arg-gingipain / black pigmentation / cysteine proteinase / hemagglutinin / heme aquisition / Lys-gingipain / P.gingivalis / processing |
Research Abstract |
筆者らは、Porphyromonas gingivalis(P.gingivalis)が保有する主要なシステインプロテアーゼ(RGPおよびKGP)の遺伝子が欠損した各種の変異株を作製し、野生株と比較しながらそれらの性状を解析してきた。すでに筆者らは、RGP(本菌の染色体上に2つの異なる遺伝子が存在している)とKGP(一個の遺伝子によってコードされている)の変異株はすでに作製しているので、これらと同じ手法を用いて、両遺伝子を欠損させた三重欠損株の作製を行った。この三重欠損株の細胞抽出液と培養上清の両方にRGPおよびKGPの活性は認められなかった。また、この三重欠損株より調製された培養上清は、野生株より調製された培養上清と比較して、歯周組織の構成成分であるタイプIコラーゲンや生体内防御機構に働く免疫グロブリン(IgGおよびIgA)などの分解を抑制することから、これらの両酵素が生体に対する病原性を持つことが強く示唆された。さらに、RGPとKGPの分子生物学的解析から、両酵素遺伝子(RGPでは2つの異なる遺伝子のうちの一つ)のC末端血球凝集素ドメインにはヘモグロビン結合タンパクがあり、P.gingivalisの増殖に必要なヘムの獲得に寄与していることが以前の研究で明らかにされていた。このヘムの獲得は、赤血球のヘモグロビンの分解により行われるが、この際、P.gigivalisではヘムを取り込み黒色コロニーを形成する。三重欠損株ではこの黒色色素産生が完全に抑制されており、またヘモグロビン結合能や血球凝集反応も著しく減少していることから、両酵素が本菌の増殖因子の獲得に対しても非常に重要な働きをしていることが示された。また、両酵素は本菌の各種のタンパク質、たとえば、線毛や外膜タンパク(75Kタンパク)、あるいは両酵素自身のプロセシングに関係していることが明らかとされているが、線毛に関しては、免疫プロッティングにより、両酵素単独の変異株によるプロセシングとは異なる大きなバンドとして認められ、両酵素のプロセシング酵素としての役割も確認された。
|
Research Products
(1 results)