1999 Fiscal Year Annual Research Report
顎下線の唾液分泌刺激における細胞内Ca^<2+>シグナリングの研究
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11771152
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山本 美紀 理化学研究所, 発生神経生物研究チーム, 基礎科学特別研究員 (40301783)
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Keywords | 唾液分泌 / Ca^<2+>結合蛋白質 / cDNAクローニング |
Research Abstract |
唾液腺細胞は分泌刺激により細胞内Ca^<2+>濃度が上昇し、これに続いていくつかの細胞内情報伝達系が活性化された後、唾液を分泌する。この細胞内Ca^<2+>濃度を上昇させる機構として、細胞内Ca^<2+>プールからのCa^<2+>動員、細胞外からの流入が知られている。細胞内Ca^<2+>プールは、Ca^<2+>を放出するチャンネル(IP_3受容体、リアノジン受容体)、Ca^<2+>を取り込むポンプ(SERCA)、そしてプール内にCa^<2+>を貯蔵するためのCa^<2+>結合蛋白質のいずれかの存在によって定義される。我々はこれら細胞内Ca^<2+>濃度を調節する分子を手がかりに、顎下腺細胞の細胞内Ca^<2+>プールを生化学的に明らかにすることを目的としている。今期はラット顎下腺に新規と思われるCa^<2+>結合蛋白質が大量に発現していることを見出し、この蛋白(SMGCA4)の同定を行った。まずSMGCA4の精製を行い、平衡透析法によってCa^<2+>結合能を評価したところ、Km=3.3mM、1分子あたり24分子のCa^<2+>を結合しうることが明らかとなった。これらの数値はこれまで知られている細胞内Ca^<2+>結合蛋白質の特性と同等であった。アミノ酸配列を決定しcDNAクローニングを行った結果、N端に20アミノ酸のシグナルペプチドを有し、110アミノ酸からコードされる蛋白であることが判明した。この蛋白は唾液腺に特異的に発現しており、muscarinicまたはβ-adrenagicな唾液分泌刺激によって唾液中に放出される分泌蛋白であることを確認した。今回同定したSMGCA4以外の主なCa^<2+>結合蛋白質も唾液中に分泌蛋白として検出されており、これらの蛋白が分泌顆粒内で細胞内のCa^<2+>濃度調節に関わっているか否か明らかにすることが今後の課題である。
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