1999 Fiscal Year Annual Research Report
顎関節症患者の滑液中の抗体が認識する抗酸菌由来44kDa抗原の解析
Project/Area Number |
11771160
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
内藤 真理子 長崎大学, 歯学部, 助手 (20244072)
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Keywords | 顎関節症 / 関節滑液 / BCG / Elongation Factor Tu / 抗体 |
Research Abstract |
顎関節症患者の関節滑液中の抗体が認識する抗酸菌の44kDa蛋白質を分離精製、さらにその遺伝子を解析し構造を決定した。二次元電気泳動で分離したBCG歯体蛋白質(分子量44kDa、等電点5)のN末端のアミノ酸配列分析を試みたが成功しなかった。この蛋白質のN末端に何らかの修飾がされていると推測された。そこで目的蛋白質をBCG歯破砕液から遠心分画と逆相クロマトグラフィーを用いて分離精製した。顎関節症患者の関節滑液中の抗体が認識する蛋白質は、精製品として40kDaの大きさを示した。これは試料中の何らかの酵素もしくは実験操作により切断されたと考えられる。精製蛋白質のN末端アミノ酸配列分析を行い、N末端側の14個のアミノ酸配列を決定した。得られたアミノ酸配列をもとに、コンピューター検索により既知のアミノ酸配列との相同性を検討したところ、結核菌のElongation factor Tu(EF-Tu)の内部配列の一部と(30〜43番目のアミノ酸)と100%一致した。そこで、BCGの染色体からEF-Tuをコードする遺伝子をクローニングし、全塩基配列を決定したところ結核菌由来のものと同一であった。これを融合蛋白質として大腸菌を用いて発現させ、さらに精製した。得られたBCGのEF-TuはウエスタンブロットによりBCGの44kDa蛋白質に反応する患者滑液中の抗体と反応することを確認した。BCGのEF-Tuを用いてELISAにて滑液の抗体価を測定したところ、検討した顎関節症患者の滑液のうち半数が高い値を示した。よって顎関節症患者滑液のIgGの主要ターゲットがEF-Tuであることが明らかになった。今後この抗体が病態とどのように関与しているのか検討していく。
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