2000 Fiscal Year Annual Research Report
HTLV-1感染のレセプター分子の同定とそれを標的とした感染抑制剤の研究
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11771162
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
神原 賢治 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (60305141)
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Keywords | HTLV-1 / ケモカインレセプター |
Research Abstract |
ヒトレトロウイルスであるHIV(human deficiency virus)がケモカインレセプターを感染コレセプターとして利用する事が明らかにされ、これらを標的とした抗HIV剤の開発が精力的に行なわれている。我々は、これまでにT細胞指向性HIVの感染コレセプターCXCR4のアンタゴニストであるT134が高い抗HIV活性を持ち、かつ薬剤耐性を誘導しにくい事などを見い出しており、コレセプターを標的とした薬剤が有効なウイルス感染抑制剤となる事を示してきた。これと同様にHTLV-1も同じレトロウイルスである事から、感染に際し感染コレセプターであるCXCR4及びCCR5を利用する可能性が考えられる。そこで、HTLV-1感染におけるケモカインレセプターの役割を明らかにする事で、HTLV-1感染抑制剤開発につながると考えられる。まずCXCR4及びCCR5抗体を用い、MT-2細胞とMOLT-4細胞を混合培養する事によって生じる巨細胞形成の抑制効果を指標に、HTLV-1感染におけるケモカインレセプターの役割を評価しようと試みた。しかし、巨細胞形成の判定が難しく、適切に評価できなかった。これらから、reporter gene assayによる客観的な評価の導入を試みた。評価系として、HTLV-1が感染できないCOS-7細胞に、CD4レセプターとCXCR4またはCCR5を一過性に発現させた細胞を構築した。このようにして得られた細胞を用い、HIV感染の成立の有無を調べる事で、評価系として適しているか判断した。その結果、プロウイルス及びmRNAの発現が確認された。さらに、LTR-下流にluciferase遺伝子を組み込んだプラスミドを用いたreporter gene assayを行なった所、発現された蛋白が転写機能を活性化する事も確認された。これら結果を考慮すれば、HTLV-1も同様にして感染の成立を判断できると考えられた。よって、HIVと同様の感染レセプターを発現させ、その細胞とMT-2細胞を混合培養しその際の感染成立の有無をCAT活性を指標としたreporter gene assayで判定した。その結果、CATの活性は感染レセプターが発現していない細胞と変わらなかった。これら結果から、HTLV-1感染では同じレトロウイルスであるHIVとは異なり、CD4及びCXCR4またはCCR5の発現だけでは、感染が成立しない事が分かった。
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