2000 Fiscal Year Annual Research Report
bFGFが実験的歯周組織再生モデルの創傷治癒過程に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
11771179
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野崎 剛徳 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (30263304)
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Keywords | bFGF / IGF-I / TGF-β / PDGF-A / 歯周組織再生療法 / 歯周組織再生モデル / RT-PCR / mRNA |
Research Abstract |
報告者はこれまで、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)の歯周組織再生療法への応用の可能性を報告してきた。本研究では、bFGFが抜歯による骨欠損の治癒に際していかなる時期に発現するのか、また実験的歯周組織再生モデルの創傷治癒過程にいかなる影響を及ぼすのかを検討した。まず、ビーグル犬の第4小臼歯を抜去した後、3、7、14日目に抜歯窩より肉芽組織を採取し、RT-PCRによって、bFGF、インスリン様細胞増殖因子-I(IGF-I)、トランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)、血小板由来増殖因子-A(PDGF-A)のmRNA発現を検出した。その結果、bFGFは抜歯後3日目にはすでにmRNA発現が認められ、7日目で発現量が最大となった後、14日目には減少した。一方、IGF-IならびにTGF-βのmRNA発現は、14日目まで経時的に増加した。また、PDGF-AのmRNA発現量は、実験期間を通してほとんど変化が認められなかった。次にビーグル犬に3壁性骨欠損モデル作成した後にbFGF溶液を投与して、12時間後、ならびに3、7日目に肉芽組織を採取してIGF-I、TGF-β、PDGF-AのmRNA発現の検出を行う一方、3、7、14日目の組織標本を作成し、組織学的に骨欠損の治癒過程を検討した。その結果、bFGF投与側では投与後3日で歯根膜細胞の活発な増殖、遊走ならびに骨芽細胞様細胞の骨梁表面への集積が認められ、7日目には赤血球や炎症性細胞浸潤がほとんど認められなくなった。そして14日目には理想的な歯周組織再生が確認された。一方、IGF-I、TGF-β、PDGF-AのmRNA発現は、実験期間を通して著明な変化が認められなかった。以上の結果からbFGFは創傷治癒の早期に一過性に発現して歯周組織再生を促進するが、この組織再生の促進には他の成長因子の2次的な発現誘導が関与しないことが示唆された。
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Research Products
(1 results)