1999 Fiscal Year Annual Research Report
難治性根尖性歯周炎症例の細菌侵襲の実態と根尖部におけるバイオフィルムとの関係
Project/Area Number |
11771184
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
藤中 恵子 徳島大学, 歯学部・附属病院, 助手 (00294710)
|
Keywords | 感染根管 / 口腔内細菌 / 免疫染色 / 走査型電子顕微鏡 / 侵入 / 局在 / 難治性根尖性歯周炎 / バイオフィルム |
Research Abstract |
根尖性歯周炎は根管系に棲息する細菌が根尖孔より漏出することにより引き起こされると考えられている従って根尖性歯周炎の治療は根管内の細菌の除去に主眼がおかれているが、根管内の機械的化学的清掃がなされているにも関わらず根管治療に反応しないいわゆる難治症例が存在する。難治性根尖性歯周炎の原因のひとつとして起炎菌が根尖孔周囲にバイオフィルムを形成するいわゆるバイオフィルム感染症となっている可能性があげられる。そこで難治性根尖性歯周炎により抜歯に至った歯や外科的歯内療法時に得られた15歯を被験歯とし走査型電子顕微鏡による観察と免疫組織学的検索に供した。Brown-Brenn染色の結果、11試料中10歯(90.9%)の根尖孔外に球菌や桿菌の集団が認められた。また酵素抗体法による根尖孔外に侵出した細菌種を検討した結果、特にL.plantarumが一番多く観察され、続いてS.mutans,L.casei,P.gingivalis,P.nigrescensが多く認められた。一方A.viscosus,E.alactolyticum,E.faecalis,P.endodontalis,F.nucleatum,T.denticolaは検出されなかった。また根尖孔周囲を走査型電子顕微鏡により観察したところ観察試料の約75%の根尖孔外に球菌や桿菌の集団が認められ、それらの細菌は網目状構造物や粘液様構造物によって被覆されており、バイオフィルムとの関連が示唆された。この事実は通常の根管清掃や拡大では根尖孔外まで侵出した細菌を排除できないことを示しておりこれらの残存した細菌が根管治療で治癒しない、いわゆる難治症例の原因になっている可能性が示された。
|