1999 Fiscal Year Annual Research Report
象牙芽細胞の痛覚受容器としての可能性に関する研究(イオンチャネルレベルでの検索)
Project/Area Number |
11771186
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
内田 憲二 長崎大学, 歯学部・附属病院, 助手 (60274669)
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Keywords | パッチクランプ / 象牙芽細胞 / 痛覚受容器 / イオンチャネル / 歯髄細胞 / ラット |
Research Abstract |
歯の痛みのメカニズムは、各種刺激が象牙細管内の組織液を移動させ、それが象牙細管の歯髄側にある歯髄神経繊維の自由終末に伝わることによって生じるという動水力学説が有力である。一方、象牙芽細胞自身が象牙質に与えられた機械的刺激に応答する感覚受容細胞であるとする説もある。本研究の目的は、象牙芽細胞の各種刺激に対する膜電位の変化およびイオンチャネルの特性を調べ、象牙芽細胞が痛覚受容器としての可能性を検討することである。 実験には、生後2〜3週目のWister系ラットを用いた。腹腔内麻酔の後、ラットの切歯を下顎骨ごと取り出し、歯芽の中央付近より歯根側をダイヤモンドディスクにて幅0.3〜0.5mmの厚さにカットし、スライス標本を作製した。標本はEDTAで処理した後、プロテアーゼとコラゲナーゼで37℃、30分間、酵素処理を行った。歯髄細胞の一部は歯芽の内面に付着し、残りは歯髄体として分離された。象牙芽細胞は、形態学的に他の歯髄細胞と区別した。象牙芽細胞は、長さが15〜25μmで細胞に突起を有し、歯髄体表面または歯髄側の象牙質表面に突起とともに細胞体が付着していた。パッチクランプ法を用い、パッチ電極にてホールセル状態にした後、-100mV〜+80mVまで20mV間隔で増加する電圧パルスを与えたところ、電圧の増加によって電位依存性の外向き整流性の電流が記録された。また、-120mV〜+60mVまで連続した電圧変化では、-90mV〜-20mVまでは電流変化はなく、+20mV〜+60mVの電圧の増加に従って外向きの電流が記録された。また、-120mV〜-90mVでは逆に内向きの電流が記録された。その後、これらの細胞の表面を10mM Ba溶液で灌流したところ、外向きの電流が抑制された。Ba^<2+>による外向き電流の抑制よりK^+チャネルの存在の可能性が示唆された。
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