2000 Fiscal Year Annual Research Report
象牙芽細胞の痛覚受容器としての可能性に関する研究(イオンチャネルレベルでの検索)
Project/Area Number |
11771186
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
内田 憲二 長崎大学, 歯学部・附属病院, 助手 (60274669)
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Keywords | パッチクランプ / 象牙芽細胞 / 痛覚受容器 / イオンチャネル / 歯髄細胞 / ラット |
Research Abstract |
前年度、ラットの切歯を細切することにより取り出した象牙芽細胞をパッチクランプ法にて膜電位の変化およびイオンチャンネルを調べ、象牙芽細胞の痛覚受容器としての可能性を調べてきた.また、継代培養された歯髄細胞においてパッチクランプ法を用い、すでに3種類の細胞応答パターンを得ている.今回、これら両者の結果を考慮し、培養歯髄細胞の象牙芽細胞または前象牙芽細胞への分化と痛覚受容器としての可能性との関連を形態学的、電気生理学的手法によって検討した. 実験には、生後2〜3週間のWistar系ラットの切歯を用いた.抜歯後歯牙より歯髄を取り出し、細胞培養を行った.実験には初代歯髄培養細胞を用いた.次に細胞のアルカリフォスファターゼ活性を調べた.細胞は強い染色性と弱い染色性を持つ2種類が得られた.形態的には、紡錘形とアメーパー状の2種類の細胞が得られた.これらにパッチクランプ法を行い形態およびアルカリフォスファターゼ活性とイオンチャンネルとの関係について調べた.パッチ電極で細胞をホールセル状態にした後、細胞表面にK^+チャネル阻害剤であるBa溶液(10mM)で灌流し細胞を刺激したとき、3種類の細胞パターンが得られた.第1はBa^<2+>によって漏洩電流が増強されるタイプ、第2は外向き電流がBa^<2+>によって抑制されるタイプ、第3は0mV付近にピークを持つ内向き電流が発生するタイプの3種類であった. これらの結果は、歯髄から2〜6代継代した培養細胞の結果と類似していた.形態的またはアルカリフォスファターゼ活性とこれら細胞応答パターンの間には明確な差異は見られなかった.今回の所見は、用いた細胞が初代培養細胞であったことから他の細胞の混入や細胞周期のステージなどによる影響が考えられた.
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