1999 Fiscal Year Annual Research Report
ラット歯髄炎における神経線維の免疫組織学的及び歯髄組織の電顕的検索
Project/Area Number |
11771204
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
生田 貴也 福岡歯科大学, 医学部, 助手 (80309947)
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Keywords | PGP9.5 / Nerve / Pulpitis / TEM |
Research Abstract |
下顎第一臼歯を人為的に露髄させ、潰瘍性歯髄炎から歯髄壊疸に至るまでの歯髄組織の変化を経時的に検索を行い、光顕的にHE染色による病理組織学的検索およびProtein Gene Product9.5抗血清を用いて免疫組織化学的に計測し、神経線維の密度の変化を検索した。その結果、膿瘍形成から歯髄壊死にいたる過程での神経線維の密度の変化が明らかになり以下の知見を得た。 (1)露髄後1日例では、穿通部を中心に歯冠部の約1/3〜1/2に限局した膿瘍の形成が認められ、歯冠部歯髄のPGP9.5陽性神経線維はコントロール群と比較して減少した。 (2)露髄後3日例では、膿瘍は根管口にまで達し、根部歯髄の陽性神経線維はやや増加した。 (3)露髄後5日例では、膿瘍は根管口から歯根の約1/4〜1/3にまで拡大し、根部歯髄の陽性神経線維はコントロール群と比較して有意に増加した(P<0.05)。膿瘍の進展に対する歯髄の防御反応に神経線維が関与している可能性が示唆された。 (4)露髄後7日例では、膿瘍は根管口から歯根の約1/2にまで拡大し、根部歯髄の陽性神経は、5日例に比較して減少した。 (5)露髄後10日例では、膿瘍は根管口から歯根の約2/3にまで拡大し、陽性神経線維はコントロール群とほぼ同じスコアーであった。 (6)露髄後2週例では、根尖まで膿瘍は拡大していた。一部では歯髄が残存しており根管壁に修復象牙質が著しく形成された結果、膿瘍の拡大が阻止されて歯髄が生存しているものも認められた。 さらに今年度は、同過程において、免疫電顕により神経線維とその神経内ペプチドの分布状態を検索し、神経線維の役割を超微細構造的に検索する。その結果、どの様な細胞に神経線維がcontactしているか等について、神経線維の役割がより詳細に明らかになるであろう。
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