1999 Fiscal Year Annual Research Report
嚥下障害を惹起させる義歯および口腔内組織の要因に関する検討
Project/Area Number |
11771220
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
石川 正俊 徳島大学, 歯学部, 助手 (30304538)
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Keywords | 嚥下障害 / 舌機能 / ディアドコキネシス / 高齢者 |
Research Abstract |
我々の日常生活においてQOLにもっとも解りやすい形で関連するのは「食生活の質」であると考えられるが,嚥下障害により満足に食物を摂取できない高齢者が数多く存在している.嚥下障害はさらに誤嚥の可能性を含んでおり,誤嚥に伴う肺炎の問題も指摘されている.よって嚥下障害の予防と治療は重要なテーマである.嚥下障害の原因の一つとして挙げられているのが嚥下機能の低下であるが,咽頭部の神経および筋の障害によるものと考えられている.しかし,食物が口腔内に摂取されると,まず口腔内組織の働きにより食塊にされた後,咽頭に送り込まれる.このいわゆる「口腔期」においては舌はもちろんこと,口唇も重要な働きをしており,これらの組織の機能の低下は嚥下機能の低下にもつながる. 一方、咀嚼機能回復に必要な義歯に適応できず、満足に食事を摂れない高齢者は多く、その原因として舌機能の低下が挙げられる.今回、発音機能の評価法であるディアドコキネシス(単音の急速反復法)と舌の口蓋への接触圧を計測し高齢者の舌機能の簡便な評価法となりうるかを検討した. その結果,若年者群、高齢者義歯装着群、非装着群それぞれにおいて〔パ〕〔カ〕〔タ〕の単音の発音間隔に有意差はなかった.しかし、三音とも若年者より義歯非装着群の方が発音間隔が有意に延長した.特に舌を調音体として発音する〔タ〕においてその差が著名であり、加齢による影響が考えられた.舌と口蓋の接触圧には若年者群と高齢者群との間に有意差はなく、接触圧とディアドコキネシスの間にも関係は認められなかった.今後、被験者を増やし、咀嚼機能との関連を含め詳細な検討を加えていく予定である.
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