Research Abstract |
本研究ではデンチャープラークおよび咽頭プラーク中の細菌構成を調査し,特に,薬剤低感受性カンジダの分離頻度,バンコマイシン耐性腸球菌の分離方法の確立及び分離頻度の検討を行い,併せて唾液中の抗体価と,カンジダなどへの抗菌作用を有するヒスタチン量を調査し,高齢者,特にimmunocompromised hostにおける感染症予防のためのデンチャープラークコントロールの重要性をうらづけるデータ収集を目的としている.デンチャープラーク,咽頭プラークの定量方法に関しては従来より評価している総細菌数,口腔レンサ球菌数,ブドウ球菌数に加え,コロニーの発色によるカンジダの菌種を鑑別できる培地を用い,カンジダ数だけでなく,その菌種構成も検討可能となった.また,Enterococciの簡易分離方法も確立した.分離されたEnterococciは生化学試験を行い,菌種を同定した後,E-test,連続液体希釈法により薬剤感受性試験を実施した.また,唾液中のブドウ球菌,カンジダに対する抗体価,ヒスタチン量をELISA法にて計測する方法も確立した. カンジダについてはCandida albicansだけでなく,トリアゾール系抗真菌剤が奏功しないといわれるCandida glabrataなども検出され,その割合は被験者によって様々であった.また,Enterococciも分離されたが,バンコマイシン耐性株は検出されていない.さらに,来年度は健康な20歳代,健康な40,50歳代,健康な65歳以上,老人病院入院患者のグループを対象にデンチャープラーク,咽頭細菌,唾液を採取し,各被験者グループの咽頭,デンチャープラークの菌種構成,薬剤耐性菌の分離頻度と唾液性状の関連について検討していく予定である.
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