2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11771226
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
永留 初實 九州大学, 歯学部・附属病院, 助手 (30284516)
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Keywords | 口腔内蛋白質 / レジン / 抗菌性 / 抗体 / 結合 |
Research Abstract |
前年度の実験の結果報告のように、レジンに対して抗菌性蛋白質であるリゾチームは吸着しなかった。そこで当教室で以前行った実験、つまりセメントに抗菌性蛋白質を添加した材料の抗菌性を調べた実験法を応用した。歯科用に一般的に用いられるレジン2種類にリゾチームを5%添加し、その力学的強度、抗菌性を調べた。次に同様のレジンにリゾチームを結合する抗体を添加した材料に対するリゾチームの結合量を調べた。実験用のレジンは即時重合レジンと義歯用レジンを用いた。 各レジンに5%のリゾチームを添加した材料の圧縮強度を測定した結果、その強度はリゾチームを添加していない材料と有意な差は見られなかった。S.mutansに対して抗菌性を示した。しかしその抗菌能は前年度に行ったセメントへの添加実験の約1/3という結果であった。これはレジンにリゾチームを添加する段階での変性の影響であると考えられる。そこで次の実験を行った。つまりリゾチームを結合する抗体をレジンに添加し、その材料にリゾチームを結合させて抗菌性効果をするというものである。この方法であれば口腔内に存在するリゾチームを抗体がその機能を有する間は半永久的に抗菌効果を期待できることになる。今回の結果では抗体を添加したレジンはリゾチームを結合することは確認できた。しかし、その結合量はセメントに抗体を添加した材料へのリゾチーム結合量の1/5であった。この結合量でも十分抗菌効果を期待できるが、抗体をレジンに添加することでかなりの割合で抗体自体が変性していることがわかった。 以上の結果とまた昨年の結果から歯科用のセメント、レジンに直接的に抗菌性蛋白質であるリゾチームを5%添加しても、その強度には変化はみられなかった。またその材料は抗菌効果を示した。抗体添加材料では口腔内唾液中のリゾチームを結合し、抗菌効果が期待できることがわかった。
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