1999 Fiscal Year Annual Research Report
高分解能電子顕微鏡法による金属/陶材異相界面の原子構造の解明
Project/Area Number |
11771232
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
田中 康弘 長崎大学, 歯学部, 助手 (10217086)
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Keywords | 高分解能電子顕微鏡観察 / 歯科用チタン / 金属 / 酸化物界面 / 原子配列 / チタン酸化物 / ルチル |
Research Abstract |
今年度はデギャッシング後のチタン表面酸化物の状態について検討した.表面酸化物層の厚みはサブミクロン程度で,表面近傍では表面に垂直方向に酸化物の結晶粒が成長し,チタンとの界面近傍では100nm程度の結晶粒となっていた.これらの酸化物は共にルチル構造のTiO_2だった.さらにチタンと酸化物の界面には10nm以下の微結晶が認められた.hcp構造のα-チタンの(00・1)最密面が界面の5nm弱の領域でfccの(111)最密面へと変化し,fcc相の(1^^-1^^-1)面と微結晶のTiO_2の(101)面とが格子整合性を維持して接していた.回折図形はhcpの[21^^-・0]とfccの[11^^-0]入射パターンの重ね合わせで理解でき,これよりfcc相の格子定数は0.42nmと見積もられた.界面の数nmの領域はNaCl構造のTiO相であると思われる.またチタン側のhcp相は軸比が1.63を示すが,これは純チタンの軸比1.587よりかなり大きい.純チタンに酸素が固溶するにつれて軸比が大きくなり,その規則構造としてhcpの八面体空隙の(00・1)面ごとに酸素が規則的に固溶した軸比が1.637のTi_2O相が存在することが知られている.[21^^-・0]からの高分解能像には(00・1)面の格子縞が見えるので,Ti_2O相である可能性がある.しかし00・1禁制反射は二重回折として観察されうるので,二重回折が生じない[11^^-・0]方位にしたところ00・1反射は削減した.従ってチタン中に酸素はかなり固溶するもののTi_2Oの規則構造は生じていないと思われる.以上のことからTi/TiO/TiO_2各相間に格子整合性を持ったチタン/チタン酸化物界面が存在することが明らかとなった.
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