2000 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍免疫におけるヌクロファージの役割とリポソーム製剤の応用
Project/Area Number |
11771258
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
新田 康隆 東北大学, 歯学部・附属病院, 助手 (80250794)
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Keywords | リポソーム製剤 / 転移 / 細胞膜タンパク / 接着分子 |
Research Abstract |
結果:マウス可移植性肝転移性腫瘍細胞:RL♂1を培養し回収、細胞をホモゲナイズし細胞膜タンパクを抽出した。それをリポソーム内に封入し、腫瘍細胞タンパク質封入リポソーム製剤を制作した。RL♂1を尾静脈から1×10^5個接種し、同時にリポソーム製剤を皮下接種し生存日数をリポソーム製剤非投与群と比較した。生存日数はリポソーム製剤非投与群が15.2日に対し、リポソーム製剤投与群は16.8日と僅かに延長したが、両者に有意差は認められなかった。リポソーム製剤を静脈内投与したが、同様に生存日数の延長は認められなかった。腫瘍細胞膜タンパクを電気泳動して、肺転移能及び肝転移能に関与していると思われる接着分子:CD44に一致する分画のタンパク質回収を試みたがリポソームに封入するだけの十分なタンパク質を回収できなかった。 考察:腫瘍細胞:RL♂1の静脈内接種では、約2週間で肝臓に著明な転移巣を形成し、接種後の生存日数や転移巣の数の個体差をほとんどを認めない転移モデルである。しかし、生存日数が約15日と短期間であるため免疫を獲得する前に腫瘍死している可能性が示唆される。一方、この細胞を皮下接種した場合、1)転移による腫瘍死ではなく原発巣による腫瘍死が起こる、2)転移巣の数にばらつきがある、などの理由から抗腫瘍効果を評価しにくい転移モデルである。しかし、生存日数が平均で約40日と静脈内接種に比べ長期なため、免疫を獲得するには有利である。以上のことから、皮下接種後に原発巣を外科的に切除し、長期的に観察する必要があった。
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