1999 Fiscal Year Annual Research Report
難治性疼痛に対する腫瘍壊死因子(TNF-α)の関与に関する研究
Project/Area Number |
11771286
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
椎葉 俊司 九州歯科大学, 歯学部, 助手 (20285472)
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Keywords | 慢性疼痛 / サリドマイド / サイクロスポリンS / Neuritisモデル / complete Freund's adjuvant / chronic constriction injury / allodynia / hyperalgesia |
Research Abstract |
難治性疼痛に炎症性サイトカインが関与することを明らかにする. 1.免疫調整のラット慢性疼痛モデルへの投与-tumor necrosis factor-α(TNF)の関与- allodyniaおよびhyperalgesiaなどの難治性疼痛へのTNFの関与を現在、よく使用されているラット慢性疼痛モデルに免疫調整剤を投与し疼痛関連行動を試験することによって検討した. 使用したモデルはラット坐骨神経を4本の縫合糸(chromic gut4-0)で緩徐に縫合し作成したchronic constriction injuryモデル(CCI)を使用し、免疫調整薬は活性化マクロファージのTNF産生を抑制するサリドマイドを野菜油に溶解し経口投与した.疼痛関連行動の検討は熱輻射装置を使用したheat-hyperalgesia、von Frey hairを使用したmechano-allodynia、アセトンを使用したcold-allodyniaおよびpin-prickを使用したmechano-hyperalgesiaの4項目とした.結果として全ての試験においてサリドマイド投与群において有為に疼痛関連行動の抑制が認められた.実験結果から、CCIにおける慢性疼痛には活性化マクロファージ産生のTNFの関与が明らかになった.しかし、完全に疼痛関連行動を抑制することは出来なかった.この原因としてTFN以外にも慢性疼痛に関与している炎症性のサイトカイン(IL-1β、IL-6、IL-8など)が存在することや、CCIではTNF産生の場が活性化マクロファージのみではなく神経構造上の損傷が原因となって神経膠細胞、線維芽細胞、血管内皮細胞によっても産生されることが原因と思われる. 2.ラット坐骨神経神経炎症モデルの作製 CCIモデルは機械的刺激による神経組織の構造上の損傷と炎症が混在した慢性疼痛モデルで炎症性のサイトカインのみを検討する為に神経炎症による慢性疼痛モデルの作製を行った.神経炎症モデルはcomplete Freund's adjuvantに浸した酸化セルロースを使用したモデル(Neuritis)で機械的な刺激による神経のdegenaration,regenarationは認められない.NeuritisでもCCIと同様のの疼痛関連行動が認められた. 3.Neuritisモデルへの免疫抑制剤の投与 より広い免疫抑制効果を持つサイクロスポリンをNeuritisモデルに投与することによって疼痛関連行動はほぼ完全にされた.しかし、サリドマイドはNeuritisの疼痛関連行動を抑制することはなかった.これは予測した結果とは全く異なったもので、Neuritisモデルの慢性疼痛発生の機序がCCIと異なっているのことが原因であると思われる.検討中) しかし、以上の結果より慢性疼痛に炎症性のサイトカインが関与していることは明らかと思われる. 今後は組織学的検討を行う.現在、CCIラットの術後5〜7日目の座骨神経、L4〜6、DRGを採集し組織学的変化をHE染色や免疫染色で検討最中である.
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Research Products
(1 results)