1999 Fiscal Year Annual Research Report
HGF/SF刺激によるヒト口腔癌細胞の浸潤能促進におけるRhoタンパク質の関与
Project/Area Number |
11771287
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
河野 峰 北海道医療大学, 歯学部, 助手 (00285537)
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Keywords | 肝細胞増殖因子 / 細胞内情報伝達 / 浸潤能 / 低分子量GTP結合蛋白質 / 口腔偏平上皮癌 |
Research Abstract |
ヒト口腔扁平上皮癌細胞株SAS細胞のHGF/SFによる浸潤能の促進は細胞運動能の亢進と関連性が高いと考え以下の検討を行った。 l)HGF/SF刺激によるSAS細胞のHGF受容体(c-Met)およびFAK^<p125>のチロシンリン酸化の変化を検討した結果、HGF/SF刺激後5分よりc-Metのチロシンリン酸化の亢進が認められ、FAK^<p125>のチロシンリン酸化はHGF/SF刺激後30分をピークとする経時的な亢進が認められた。この結果からHGF/SF刺激の細胞内シグナルは、SAS細胞のc-Metを介し、FAK^<p125>を活性化し伝達される可能性が示唆された。 2)Rhoの特異的阻害剤であるC3酵素処理したSAS細胞のHGF/SF刺激による浸潤能および運動能の変化をi検討した結果、HGF/SF刺激により亢進したSAS細胞の浸潤能は、C3酵素処理により有意に抑制された。また、HGF/SF非刺激のSAS細胞をC3酵素処理したところ、この運動能も有意に抑制された。この結果からSAS細胞のHGF/SFによる運動能の亢進に、Rhoが関与していることが示唆された。また、SAS細胞はHGF/SF非刺激においてもRhoが関与し、その運動能が亢進されている可能性が示唆された。 3)HGF/SF刺激によるc-Metのチロシンリン酸化後のシグナルがFAK^<p125>に伝達される過程で、Rhoが関与するかを明らかにするためにC3酵素処理によるHGF/SF刺激後のFAK^<p125>チロシンリン酸化の変化を検討した結果、HGF/SF刺激により亢進したSAS細胞のFAK^<p125>チロシンリン酸化は、C3酵素処理により減弱された。この結果からHGF/SF刺激の細胞内シグナル伝達においてFAK^<p125>の上流にRhoが存在し制御している可能性が示唆された。
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