2000 Fiscal Year Annual Research Report
軟骨細胞のメカニカルストレス受容機構における細胞骨格分子と接着分子の相互作用
Project/Area Number |
11771308
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 一郎 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (70241643)
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Keywords | 軟骨細胞 / メカニカルストレス / 細胞接着 / フィブロネクチン / II型コラーゲン / 細胞骨格 / インテグリン |
Research Abstract |
本研究では,牽引力の負荷に伴う軟骨細胞の線維芽細胞への形態変化とa5b1インテグリン分子の発現の関係を解明することを目的として,これを細胞生物学的に検討する.また,軟骨細胞に対する牽引力の負荷に伴いその分化形質としてのII型コラーゲン及びアグリカンの発現が抑制され,かわって線維芽細胞としての形質、フィブロネクチン及びI型あるいはIII型コラーゲンの発現を獲得する,という仮説を検証する.さらに,この過程にインテグリンによる細胞-細胞外基質間の接着が寄与していることを示す. 実験材料として胎齢12日のSD系ラットを用い,四肢胚より細胞を顕微鏡下で採取する.続いてこれにtrypsin-collagenaseで処理を施し,細胞を分離した後,DMEM培地を用い培養した.メカニカルストレスの負荷にはFlexer cellを用いた.細胞の分化指標としてのI型,II型,III型コラーゲンや,アグリカン,フィブロネクチンの発現については半定量的RT-PCR法を用いたmRNAの定量によって行った.また,共焦点レーザー顕微鏡と蛍光抗体間接法を用いた免疫染色による形態観察によって,細胞内骨格と細胞・細胞外基質を接着タンパクであるインテグリンが仲介して作り出す接着斑の形成を経時的に観察した. 伸展力を負荷した軟骨細胞よりtotal RNAを抽出し,その後逆転写酵素によりcDNAテンプレートを作製し,半定量的PCR法により目的遺伝子の定量実験を行った.結果、伸展力を加えなかった群に比べ,II型コラーゲンおよびアグリカンの遺伝子発現は10〜20%用量依存的に有意に抑制されることが分かった.また,形態観察により,経時的に接着斑の形成が促進されることが示された. これらのことから、機械的伸展力がラット四肢原器由来軟骨細胞の初期分化を抑制すること,これにはintegrinによる細胞-基質問接着が寄与していることが示唆された.
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