2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11771310
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
下川 隆 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (70302841)
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Keywords | 肉眼解剖学 / 顎関節 / 咀嚼筋 / 神経支配 / 顎関節関節円板 |
Research Abstract |
顎関節の発生・発達と咀嚼筋の発生・分化との関係を総合的に理解することで、顎関節を動かす構造物の形態と顎関節症の病態との関連について解明することを本研究において試みた。本年度はマウス胎児を用いて、筋を中心とする顎関節周囲構造物の構成を検討した。マウス胎児において、咀嚼筋群は一塊の筋原基から形成されることが明らかになった。咀嚼筋筋原基は下顎神経本幹を前方から外側にかけて取り囲むようにして発達していた。下顎神経本幹表面から放射状に起始した多数の支配枝が、咀嚼筋筋原基の内側面から進入・分布してた。発生段階が進むに従い、咀嚼筋筋原基は先ず、下顎神経本幹を挟んで、内・外側部の筋原基に分離し、内側部筋原基からは内側翼突筋が、また、外側部筋原基からは外側翼突筋、側頭筋、咬筋が形成された。外側部筋原基は顎関節関節円板前方の内〜外側を取り囲むように発達し、筋原基内側の前〜中部から分離した筋束が、下顎頚および円板前縁の内〜外側にかけて付着していた。これらの筋束からは、外側翼突筋の上頭およびdisco-te mporalmuscle bundle(Akita et al.2000)が形成された。それゆえ、顎関節関節円板に付着する筋束の支配神経については、円板前縁の内〜外側に付着する筋束は、外側部筋原基の前〜中部に分布する枝によって支配されていた。 成獣において、関節円板に付着する筋とその支配神経との立体的位置関係には様々なバリエーションが認められたが、円板の内〜外側に付着する筋は側頭筋の前〜後方に分布する神経によって支配されており、神経と筋との相対的な位置関係は一定していることが分かった。今回の発生学的な所見においても、神経と筋との相対的な位置関係は安定しており、成獣における所見を発生学的に証明することができた。また、ヒトにおける神経と筋との関係はマウスとほぼ同じであり、今回の発生モデルがヒトに充分適応可能と考えられた。
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