2000 Fiscal Year Annual Research Report
歯の矯正的移動によって生じる痛みの制御に関する基礎的研究
Project/Area Number |
11771318
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山城 隆 岡山大学, 歯学部, 助教授 (70294428)
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Keywords | HPLC / セロトニン / ノルアドレナリン / ドーパミン |
Research Abstract |
矯正的歯の移動による痛みと不快感は歯科矯正治療上の解決されるべき問題点の一つである。かしながら,これらの中枢神経系における制御機構は明らかにされていなかった。本研究の目的は,ストレス形成や痛みの制御に重要な役割を果たすノルアドレナリン,ドパミン,セロトニンなどのモノアミンが,歯の移動による痛みに対してどのような役割を果たしているかを解明することである。そこで,実験的歯の移動を行った後,脳を取り出し細分し,それぞれにおけるノルアドレナリン,ドパミン,セロトニンとその代謝物の産生量を,高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で微量定量した。 その結果,歯の移動によって生じる侵害刺激によって三叉神経脊髄路核相当部の延髄においてノルアドレナリン,ドパミン,セロトニンなどのモノアミとその代謝物の産生が亢進した。つまり,矯正的歯の移動による痛みと不快感は,ストレス形成や痛みの制御に重要な役割を果たすモノアミンの制御を受けている事を明らかにした。過去に我々が報告した所見も考慮すると,歯の移動によって生じる上行性の侵害情報は延髄後角において大脳辺縁系などの上位中枢からの下行性の制御を受けることが示唆された。これらの成果はBrain Research誌に報告した。 さらに、セロトニンについて延髄後角の上位中枢である中脳における役割も詳細に検討したところ、セロトニンの代謝が歯の移動による侵害刺激によってこの部位においても亢進することを明らかにした。この結果はJournal of Dental Research誌に投稿中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yamashiro,T.: "Mechanical stimulation induces CTGF expression in rat osteocytes"Journal of Dental Research. (in press). (2001)
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[Publications] Yamashiro,T.: "Influences of ovariectomy on experimental tooth movement in the rat"Journal of Dental Research. (in press). (2001)
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[Publications] Yamashiro,T.: "Gene and protein expression of brain-derived neurotrophic factor (BDNF) and TrkB in bone and cartilage"Bone. (in press). (2001)
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[Publications] Yamashiro,T.: "Inferior alveolar nerve transection inhibits increase in osteoclast appearance during experimental tooth movement"Bone. 26・6. 663-669 (2000)
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[Publications] Yamashiro,T.: "Epithelieal rests of malassez expressed immunoreactivity of TrkA and its distribution is regulated by sensory nerve innervation"The Journal of Histochemistry and Cytochemistry. 48・7. 979-984 (2000)
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[Publications] Yamashiro,T.: "Medullary monoamine levels during experimental tooth movement"Brain research. 878. 199-203 (2000)