1999 Fiscal Year Annual Research Report
軟骨代謝に対する新規コラーゲン結合蛋白RGD-CAPの影響
Project/Area Number |
11771322
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大野 茂 広島大学, 歯学部, 助手 (30304447)
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Keywords | RGD-CAP / 軟骨 / 細胞接着 / インテグリン / RGD配列 / 変形性関節症 |
Research Abstract |
当初計画していたRGD-CAPの発現については、ニワトリ軟骨組織よりRGD-CAPcDNAのクローニングに成功し、このRGD-CAPcDNAを蛋白発現ベクターに取り込み、リコンビナント蛋白の発現を行った。その結果、分子量が約70kDaのリコンビナント蛋白の発現に成功した。このリコンビナント蛋白をウサギおよびマウスに免疫した結果、両者において、高い抗体価を示すポリクローナル抗体が作製できた。これらの抗体を用いて、発生段階におけるニワトリ胚における免疫染色を行った結果、軟骨増殖レベルの高い軟骨膜とともに、軟骨分化過程における基質産生期から肥大期にかけてRGD-CAPが高レベルで存在することが明らかとなった。さらにリコンビナント蛋白を用いて軟骨細胞の接着活性を検討した結果、RGD-CAPは1μg/mlの濃度から軟骨細胞接着、伸展を促進した。また、同様の結果が成長板軟骨細胞、線維芽細胞においても観察されたが、歯髄細胞においては観察されなかった。RGD-CAPの接着活性はEDTAにより阻害され、2価の金属イオンを必要とし、しかもインテグリン中和抗体を用いた阻害実験を用いた結果、インテグリンα1およびβ1の中和抗体により阻害された。これらの結果から、RGD-CAPの接着活性はインテグリンα1β1を介することが明らかになった。さらに、C端側のRGD配列を除いた断片のリコンビナントを作製し、接着活性を検討した結果、同様の接着活性が認められたことから、C端側のRGD配列以外に接着活性部位が存在することが明らかとなった。現在さらに細かい断片を作製し、接着活性部位を検討するとともに、ヒトのリコンビナント蛋白および抗体を作製し変形性関節症などの病態との関連を検討中である。
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