2000 Fiscal Year Annual Research Report
食行動時の咀嚼がエネルギー代謝の中枢性調節機序において担う役割を解明する研究
Project/Area Number |
11771333
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤瀬 多佳子 九州大学, 歯学部・附属病院, 助手 (50284518)
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Keywords | 咀嚼 / エネルギー代謝 / 低硬度飼料 / 食事性熱産生 / 脳機能 / レプチン / 内臓脂肪 / 成長発育 |
Research Abstract |
「食べること」は、生命の存続にとって、必要不可欠な行動である。一連の消化吸収の過程において、口腔は第一の器官であり、食物の性状変化に応じて巧妙に営まれる咀嚼中に口腔内諸器官から絶えず送り続けられる感覚情報は、中枢で統合処理され、運動出力される。本研究では、エネルギー代謝の中枢性調節における咀嚼時の口腔内感覚の役割について、解明を試みることを目的とする。咀嚼時の口腔内感覚を変化させる目的で、成分および形状が同様で硬度のみが通常飼料より低い飼料を開発し、離乳直後より通常飼料または低硬度飼料で正常ラットを飼育した。体重成長曲線を比較すると、成長のスパートを過ぎた頃から、低硬度飼料群の体重が通常飼料群より大きくなった。内臓脂肪量は、体重差が有意になった頃より、低硬度飼料群で有意に多くなった。脂肪細胞から分泌させるレプチンの血中濃度は、低硬度群において、成長期より増加していることがわかった。1日の摂食量を比較すると、成長期および体重差が明確になった時期においても、2群間に差は認められなかった。体重差が生じたラットの体温変化を、無麻酔無拘束下、腹腔内に慢性的に埋入した体温・活動量測定用テレメトリーセンサーと受信ボードを用いて測定した。1日の体温変動について比較すると、明期の体温には2群間で差が認められないのに対し、ラットの活動期である暗期の体温が低硬度群では低下していることがわかった。暗期の活動量に2群間で差が認められなかった。食事に伴う産熱反応を調べたところ、頭相における熱産生が低硬度群で減少していることがわかった。以上の結果から、エネルギー摂取量は同様であるにも関わらず、脂肪蓄積が生じた低硬度飼料群のラットでは、食事に伴なうエネルギー消費系に変化が生じていることがわかった。すなわち、咀嚼時の口腔内感覚情報の違いは、消化過程やエネルギー代謝調節系に影響を及ぼす可能性が示唆された。
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