1999 Fiscal Year Annual Research Report
高齢患者の栄養管理に関する研究-摂食障害を伴う患者の栄養状態について-
Project/Area Number |
11771346
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
三橋 扶佐子 日本歯科大学, 歯学部, 助手 (60187896)
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Keywords | 高齢者 / たんぱく質エネルギー低栄養状態(PEM) / 栄養摂取 / 安静時エネルギー代謝 |
Research Abstract |
<目的>本研究では高齢者の口腔内の状態ならびに摂食機能状態が栄養摂取状況とどのような関連があるのかを明らかにすることを目的とした。 <方法>静岡県内A特別養護老人ホーム62名(男性4名、女性58名)平均年齢83.1歳について、口腔内の状況として、う蝕、歯周疾患、補綴物の状況等の検診を、栄養状態の指標として、食事摂取状況、日常生活動作(ADL)、血液検査、身体計測、ならびにエネルギー代謝の測定を行った。 <結果ならびに考察>歯科検診を拒否した10名を除いた52名中全歯喪失者は32名で全体の51.6%であり、その内総義歯を装着しているものが14名(26.9%)であった。高度う歯(C3C4)所有者は、23名(44.2%)で全体の半数近くを占めていた。また、健全歯あるいは処置歯が20本以上残っているものは3名(5.7%)と非常に少なかった。本研究における高齢者施設では、口腔内の状態ならびに嚥下能力に合わせて食事の形状(刻み食、ミキサー食、粥など)が定められており、喫食率は平均で90%以上であった。血清アルブミン3.5g/dl以下のたんぱく質・エネルギー低栄養状態(protein energy malnutrition:PEM)リスク者において口腔内状況が悪い(損失歯が多い、欠損補綴が必要、う歯が多い)状態が有意に観察された. 高齢者においては、口腔内状況(損失歯が多い、欠損補綴が必要、う歯が多い)や嚥下能力に合わせて食事の形状を対応させることによって喫食率を高くすることが可能となっていた。しかしながら、義歯を用いていない全歯損失者は、その他の高齢者に比べてアルブミン、体重、安静時エネルギー代謝などの栄養状態の指標となる値が有意に低下していた。 今後は、口腔内状況の改善ならびに栄養補給法の改善を行い、栄養状態がいかに変化してくるのかを観察する必要があると考えられる。
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