Research Abstract |
本研究は,IL-1刺激ヒト線維芽細胞におけるDNA binding protein(STAT3,C/EBP)の発現とそれらが転写制御因子としてcollagenase(MMP-1)遺伝子の発現をどのように調節しているのかを明らかにすることを目的として行った. 患者の承諾を得た臨床材料を用いて線維芽細胞を分離し培養した.すなわち治療上必要と診断された矯正治療患者の抜去歯牙ならびに歯肉切除片から,Tewariらの方法に準じてヒト歯根膜ならびに歯肉線維芽細胞を分離した.得られた細胞は10%クシ胎児血清(FBS)を添加したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)を用いて,5%CO_2,37℃で継代培養した.歯肉線維芽細胞にIL-1刺激を加えた後,経時的(15分,30分,1時間,2時間,4時間,6時間,8時間,24時間,48時間,72時間後)に核抽出液ならびにtotal RNAを抽出した.調整した核抽出液を用いて,ゲルシフトアッセイによるC/EBP-α,β,δの活性化の同定,ウェスタンブロット法によるC/EBP-α,β,δ分子の同定を行った,また,ノーザンプロット法を用いてC/EBP-α,β,δmRNAの発現を検出した.その結果,IL-1刺激ヒト歯肉線維芽細胞において,C/EBPの活性化が認められ,さらにスーパーシフトアッセイによりC/EBP-β,δの関与が認められた.一方でC/EBP-α,β,δmRNA量に変化が認められなかったことから,C/EBPは転写後に関与しているものと考えられた.
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