2000 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠及び授乳が歯周組織に与える影響を画像解析と組織学的解析を用いて検討する
Project/Area Number |
11771355
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
荘司 佳奈子 東北大学, 歯学部・附属病院, 助手 (90302158)
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Keywords | 妊娠 / 授乳 / 歯槽骨吸収 / 骨塩量 / 動物実験 / カルシウム代謝 / リスク・ファクター |
Research Abstract |
全身状態(妊娠&授乳)および栄養摂取状態(Ca)の歯周組織に与える影響について検討した。試料として、ラットの下顎骨を用いた。全身状態については妊娠の有無の2群、Ca摂取状態については3群(充足、減少、欠乏)に分け、計6群間での画像解析および組織学的解析結果の比較を行った。 健康な歯周組織においては、骨塩量はCa摂取状態に依存して減少した。Ca摂取が減少または欠乏した状態では、非妊娠群と比較して妊娠群で有意に骨塩量が減少した。妊娠群のラットから生まれたこどもの下顎骨の骨塩量は、親のCa摂取状態を強く反映していた。組織所見では、Ca摂取が減少または欠乏した状態における、歯槽骨内面からの吸収による骨の非薄化が顕著であった。残存する歯槽骨の面積は、Ca摂取状態に依存していた。しかし、歯槽骨の高さの変化はみられなかった。 さらに、歯周組織に炎症を惹起させた状態での検討を加えた。歯肉溝にゴム輪を挿入することによって歯周炎を惹起した。骨塩量の変化は、健康な歯周組織と同様であった。組織所見ではゴム輪挿入による急激な歯槽骨吸収、著明な炎症性細胞浸潤をともなう軟組織の走行の乱れなどがみられた。その程度はCa摂取状態に依存し、妊娠&授乳により高度になる傾向がみられた。健康な歯周組織と比較して大きな相違は、Ca摂取状態に依存して歯槽骨の高さの減少がみられたことである。 以上の結果より、1)妊娠や授乳が、Caが十分に摂取された状態では歯槽骨を減少させる直接のfactorとはなり得ないが、Ca摂取が減少または欠乏した状態では、risk factorになり得る2)歯槽骨吸収により、全身のCa需要が増大し、かつCa摂取状態がよくない場合に、妊娠や授乳が歯槽骨を減少させるrisk factorになり得ることが示唆された。
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Research Products
(1 results)