2000 Fiscal Year Annual Research Report
EOP患者由来好中球におけるDGKの塩基配列の多型性と好中球機能低下の関わり
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11771359
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
前田 博史 岡山大学, 歯学部, 助手 (00274001)
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Keywords | DGK / 早期発症型歯周炎 / 遺伝子発現 / 発現調節 |
Research Abstract |
1.好中球走化能とDGK遺伝子発現量 好中球走化能の低下がみられる早期発症型歯周炎患者(EOP)と健常者のDGK遺伝子発現量をNorthern blot法によって調べた。すなわち、走化性因子FMLP(N-formylmethionylleucylphenylalanine)で刺激した好中球、ならびに無刺激の好中球から全RNAを抽出して、DGK遺伝子プローブとのハイブリダイゼーション反応に供した。ハイブリダイゼーションシグナルの強さはオートラジオグラフィー後、NIH Imageで数値化した。内部コントロールにはβ-actinを用いDGK/β-actinをDGK発現量として評価した。無刺激の条件下では、EOP患者のDGK遺伝子発現量は健常者の発現量と有意な差は認められなかった。ところが、FMLP刺激下においてはEOP患者のDGK遺伝子発現は低下する傾向がみられた。つぎに、DGK遺伝子は異なる2つの転写開始点をもつことが明らかとなっているが、FMLP刺激によって、2つの開始点からの転写産物に量的変化が起こるかどうかをRT-PCR法によって調べた。結果、新しく見つかった転写開始点からのmRNA量はFMLP刺激後に若干の増加を示した。 2.総括 DGKの酵素活性の低下がEOP患者で報告されているが、この低下の原因はこれまで明らかにされていない。今回の研究ではDGKの構造をcDNAの塩基配列から、発現量をmRNA量から調べ、EOP患者のDGK酵素活性の低下を分子レベルで捉えようとした。結果、EOP患者において、DGKの構造上の変化は認められず、DGK遺伝子の発現量の低下がみられた。EOP患者のDGK酵素活性の低下はDGK遺伝子の発現調節に起因する可能性が示された。2つの転写開始点(プロモーター領域)がどのようにDGK遺伝子の発現調節に関与しているかは今後の課題である。
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