1999 Fiscal Year Annual Research Report
非線形数値解析を応用した歯周靭帯の性状分析と歯周組織診断への応用
Project/Area Number |
11771362
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
内藤 徹 九州歯科大学, 歯学部, 助手 (10244782)
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Keywords | 歯周病 / 歯周靭帯 / 炎症 / 粘弾性 / 非線形解析 / 診断 |
Research Abstract |
我々の開発したレーザー変位計を用いた測定法により、垂直荷重をかけた際の歯の微細変位を高精度かつ高速度で観察することが可能になった。今年度は、近隣の健全歯の変位をコントロールとして同時に測定して、体動に由来するノイズを除去できるように計測システムに改良を加え、実験を行った。 実験動物(ビーグル犬5頭)を用いて、歯軸に平行に10gから100g程度の荷重を加えた際の歯の微小変位を、健全な歯周組織を有する場合と実験的歯周炎を惹起した場合について調べた。健常歯と歯周炎罹患歯は、同様に荷重直後の速い沈下とその後のゆっくりとした2相の沈下様式が観察された。1msec間隔で採得した各荷重に対するこれらの時系列データを、指数関数を念頭に置いた多項の非線形の数値解析を行ったところ、3項の指数関数によって一般化される最適化曲線によって、歯の変位がほぼ記述可能であることが確認された。これはすなわち、歯に荷重を加えた際の微小な動きを計測することによって、歯の支持組織の粘弾性を推測できることになる。現在までのデータでも、健全な歯周組織を有したイヌの歯の変位の弾性係数、粘性係数は若干の個体差を伴いながらもほぼ一定しており、歯周組織に実験的歯周炎を惹起させると、歯の支持組織の粘性的な性質急激に低下することが明らかになってきた。さらに高い精度での歯の変位計測を継続中であり、個体差の大きな動物での計測結果に対する統計処理を行い、実験的歯周炎に伴う歯周組織に生ずる一般的な現象としての粘弾性の変化を定量化して示していく予定である。
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