2000 Fiscal Year Annual Research Report
プロトン酸添加により劇的に促進される遷移金属触媒反応
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11771374
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
有澤 美枝子 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教務職員 (50302162)
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Keywords | 遷移金属錯体 / プロトン酸 / ホスフィン / スルホン酸 / パラジウム触媒 / ロジウム触媒 / アセチレン / アレン |
Research Abstract |
遷移金属錯体とスルホン酸を組み合わせると,反応が著しく促進される場合があることを見出した.本研究の目的は,このコンセプトの一般性を検証するとともに,新しい触媒反応を開発するものである.今回この展開として,遷移金属触媒とスルホン酸の系を用いて,炭素-炭素不飽和結合にホスフィンが付加する新しい反応を見出した.パラジウム触媒存在下,アセチレンに対して等モルのホスフィンとメタンスルホン酸を作用させると,1-アルキンの内部炭素へのシス選択的なホスフィンの付加が進行する.次いで,LiPF_6を作用させ,対アニオンを交換した後,再結晶して2-アルケニルホスホニウム塩を単離した.この反応の触媒活性は非常に高く,0.1mol%でほぼ定量的に生成物を与える.一方,ロジウム触媒存在下で反応を行うと,1-アルケニルホスホニウム塩を優先的に与えた.用いる金属錯体の種類を変えることで,付加の位置選択性を制御することができる点が特徴である.アレンへの付加反応では,反応温度を変えることにより,立体選択的にアリルホスホニウム塩を合成することができた.パラジウム触媒存在下,アレンと等モルのホスフィン及びメタンスルホン酸をTHF加熱還流下作用させると,trans-アリルホスホニウム塩を優先的に与えた.一方,この反応を-10℃で行うと,cis-アリルホスホニウム塩を優先的に与えた.ホスホニウム塩は合成中間体として極めて重要であるが,従来多段階合成法によって供給されてきたので,本反応は極めて有用である.また,通常は遷移金属錯体の配位子として用いられるホスフィンが,基質とカップリングする新しい反応でもある.更に,ロジウム触媒とスルホン酸の複合触媒を用いると,アセチレンにアルキルジスルフィドが付加することを見出した.パラジウム触媒を用いたアリールジスルフィドの付加は知られているが,アルキルジスルフィドの付加の例はこれまでにない.また,ロジウム錯体とスルホン酸の複合触媒系を用いると,Beckmann転位反応が触媒的に進行することを見出した.これは本触媒系が種々のヘテロ原子の付加反応,及び酸を用いた反応の促進効果に利用できることを示している.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Mieko Arisawa and Masahiko Yamaguchi: "Metal-Catalyzed Addition of Phosphine and Methanesulfonic Acid to Alkyne"Journal of the American Chemical Society. 122. 2387-2388 (2000)
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[Publications] Mieko Arisawa and Masahiko Yamaguchi: "Stereoselective Synthesis of (E)-and (Z)-Allylphosphonium Salt by Palladium Catalyzed Addition of Phosphine to Allene"Advanced Synthesis & Catalysis. 343. 27-28 (2001)
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[Publications] Mieko Arisawa and Masahiko Yamaguchi: "Rhodium Catalyzed Beckmann Rearrangement"Organic Letters. 3. 311-312 (2001)
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[Publications] Mieko Arisawa and Masahiko Yamaguchi: "Addition Reaction of Dialkyl Disulfide to Alkyne Catalyzed by a Rhodium Complex and Trifluoromethanesulfonic Acid"Organic Letters. (2001)